金ヶ崎の戦い (南北朝時代)

金ヶ崎の戦い：南北朝時代の激闘と悲劇

延元2年（1337年）3月、越前国金ヶ崎城（現在の福井県敦賀市）において、南北朝時代を象徴する激しい戦いが繰り広げられました。この金ヶ崎の戦いは、建武政権崩壊後、新田義貞率いる南朝方の残存勢力と、室町幕府・北朝方の軍勢との間で起こった、運命の衝突でした。

戦いの背景：建武政権の崩壊と南朝勢力の苦境

後醍醐天皇の建武政権は、足利尊氏との対立（建武の乱）を経て、延元元年/建武3年（1336年）に壊滅的な打撃を受けました。湊川の戦い、第二次京都合戦、そして近江の戦いでの敗北は、建武政権の終焉を告げ、足利尊氏の勢力が圧倒的となりました。

この混乱の中、新田義貞は後醍醐天皇の皇子、尊良親王と恒良親王、そして公家らと共に、北陸へと逃れました。険しい木ノ芽峠を越え、多くの犠牲を払いながらも、気比神宮宮司・気比氏治の支援を受け、越前国金ヶ崎城に辿り着いたのです。一方、後醍醐天皇は吉野へ逃れ、南朝を開きました。

籠城と包囲：金ヶ崎城を舞台にした攻防

金ヶ崎城に入城した新田義貞らは、間もなく越前国守護・斯波高経率いる北朝方の軍勢に包囲されます。堅固な金ヶ崎城を攻略できずにいた北朝方は、長期戦に持ち込み、兵糧攻めに切り替えました。

延元2年に入ると、足利尊氏は高師泰を大将に、各地の守護を動員して大規模な攻撃を開始。金ヶ崎城への総攻撃が始まりました。南朝方は、杣山城の脇屋義治や瓜生保らによる救援を試みましたが、残念ながら失敗に終わります。

窮地と決断：金ヶ崎城からの脱出

兵糧が尽き、城内の状況は悪化の一途を辿りました。新田義貞、脇屋義助、洞院実世らは、尊良親王と恒良親王、そして新田義顕らを金ヶ崎城に残し、援軍を求めて城を脱出せざるを得ませんでした。しかし、彼らは二度と金ヶ崎城に戻ることはありませんでした。

落城と悲劇：南朝方の抵抗と尊良親王の最期

延元2年3月3日、北朝方は金ヶ崎城に総攻撃をかけました。兵糧攻めと戦闘による疲労困憊、飢餓に苦しむ城兵たちは、次第に抵抗力を失っていきました。そして3月6日、金ヶ崎城は落城しました。尊良親王と新田義顕は自害、恒良親王は捕縛されるという悲劇的な結末を迎えたのです。

戦いに参加した主な人物

南朝方：新田義貞、新田義顕、脇屋義助、脇屋義治、尊良親王、恒良親王、洞院実世、気比氏治ら。

北朝方：斯波高経、高師泰、仁木頼章、今川頼貞、細川頼春、小笠原貞宗、塩冶高貞ら。

金ヶ崎の戦いの意義

金ヶ崎の戦いは、建武政権崩壊後の南朝勢力の抵抗の象徴として、また、尊良親王の最期という悲劇的な出来事として、日本の歴史に深く刻まれています。この戦いは、南北朝時代の長期に渡る紛争の激しさと、その中で生きた人々の苦悩を物語る、重要な出来事であったと言えるでしょう。この戦いを理解することで、南北朝時代の複雑な政治状況や、人々の生き様をより深く知ることができるのです。

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