金一 (政治家)

金一：北朝鮮の影響力ある政治家

金一（きん・いち、またはきん・いつ、1910年3月10日 - 1984年3月9日）は、朝鮮民主主義人民共和国の重要な政治家で、国家副主席、政務院総理（首相）、朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会委員などの職務を担ってきました。彼の別名は朴徳山とも知られています。

経歴

金一は、咸鏡北道にて生まれました。1932年からは朝鮮共産党の地下活動に積極的に参加し、大衆団体の扇動を行っていました。1935年には満州の抗日パルチザンに参加し、その後はソ連の独立狙撃旅団に所属しました。1945年の朝鮮の解放後、金一は朝鮮共産党の高級エリートとして急速に台頭しました。1946年には北朝鮮労働党中央委員会の常務委員に就任し、その後も多くの要職を歴任しました。

彼は1948年に朝鮮民主主義人民共和国の建国に際し、第1期最高人民会議代議員に選出され、以後は長年にわたりその地位を保ちつづけました。同年には民族保衛省文化訓練局長としても働き、教育や文化の確立に寄与しました。さらに1949年には朝鮮人民軍の政治保衛局長に就任し、中国共産党への特使として派遣されるなど、外交活動にも力を入れました。

金一は1950年に突入した朝鮮戦争の勃発後、人民軍の前線司令部にて軍事委員という重職につきましたが、後に批判を受け解任されるも復職し、平安南道の党委員会委員長などを担当しました。

また、1953年に朝鮮労働党中央委員会の書記に任命され、1954年には内閣副首相および農業相も兼任しました。金一は戦後復興や社会主義の基盤作りに努め、その結果、党の路線を整備することに貢献しました。1962年には第一副首相に昇進し、1972年には朝鮮民主主義人民共和国の初代政務院総理に任命されました。

1976年には国家副主席に就任し、北朝鮮の対外活動を指導しました。1979年には韓国との対話にあたる祖国平和統一委員会委員長にも就任し、国際的にも存在感を示しました。彼の政治的な業績は1980年10月の第6回党大会においての再選を考慮する際にも高く評価されています。金一の政治的な影響力は、1984年3月9日、国家副主席としての任期中に彼が亡くなるまで続きました。

人柄と評価

金一は彼の近隣の人々や同僚からは高く評価される人物でした。兪成哲は彼を「人間的な温かみを持ち、理解力も早く正確な人」と評し、権力欲が薄いことから背を向けた策謀を持たなかったことが評価されました。また、他の著述家たちも彼の温厚な性格や優れた実務能力を称賛しています。

金一の生涯を通じて、彼は金正日を後継者として強く支持し、1974年には金正日の党政治局員選出に積極的に働きかけました。これにより、金正日が北朝鮮の新たなリーダーシップを継承することができたのです。彼のこの行動は、北朝鮮の今後の政治情勢に大きな影響を与えるものとなりました。

結論

金一は政治家として多くの功績を残した人物であり、北朝鮮の歴史において重要な役割を果たしたといえます。彼の影響力は、北朝鮮の外交や政策に多くの影響を及ぼし、その存在は今でも国の政治に語り継がれています。

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