金井池

金井池（かないいけ）

長野県長野市松代町柴に位置する金井池は、千曲川の旧流路が残って形成された河跡湖（三日月湖）です。南北約200メートル、東西約60メートルの細長い形状をしています。春には桜が咲き誇り、多くの観光客が訪れる場所です。また、金井山への遊歩道の入り口でもあり、山頂からは金井池と長野、松代の市街地を一望できます。

地理と形成

金井池は、千曲川が長い年月をかけて流路を変化させた結果、取り残された部分が池になったと考えられています。一説には、江戸時代に水害対策として千曲川の流路を西へ移動させた際に、旧流路に池が形成されたとも言われています。1742年（寛保2年）の水害を機に、松代藩が1744年から1747年にかけて治水工事を行い、それまで山沿いを流れていた千曲川が、城下町から離れた現在の流路へと変わりました。しかし、一方で、真田氏統治時代の松代藩主・真田信之の頃には、既に金井池が存在していたという伝承もあります。

伝説と歴史

真田信之が家来と池で投網をした際、やかんのような形の「土金水（どこんすい）」と呼ばれる物体が引き上げられたという伝説があります。この土金水は、土とも金属ともつかない材質で、水気を帯びていたとされています。また、夜になると樽の酒を飲むという噂もあったそうです。信之の隠居後、屋敷跡に建てられた大鋒寺が、池を含む周辺の土地を寺社領とし、土金水は大鋒寺に保存されています。この土金水は、一説にはクジラの椎骨とも言われています。

水質と利用

かつて、金井池の水はポンプで汲み上げられ、農業用水として利用されていましたが、周辺からの生活排水流入により水質汚濁が進み、現在は農業用水としての利用はなくなりました。1960年代と1990年代を比較すると富栄養化が進行しており、1960年代には1.3～1.4メートルあった透明度が、1990年代には0.6～0.7メートル程度まで低下しています。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、最寄りのバス停は「柴」です。長電バスが、長野電鉄長野線・須坂駅（須坂市）、松代駅（旧・長野電鉄屋代線）、しなの鉄道しなの鉄道線・屋代駅（千曲市）を結んでいます。

参考文献

落合照雄「プランクトン相からみた金井池の劣悪栄養化」『清泉女学院短期大学研究紀要』第15号、清泉女学院短期大学、1997年3月、199-214頁
信濃毎日新聞社編集局『信州の湖沼』信濃毎日新聞社、1973年

関連項目

寛保の洪水・高潮 - 戌の満水
金井山駅 - かつて存在した長野電鉄屋代線の駅（廃駅）

外部リンク

* 長野県公式観光ウェブサイト さわやか信州旅.net 金井山遊歩道

金井池は、その歴史的な背景と自然の美しさが共存する場所です。訪れる際には、その独特の景観と、語り継がれる伝説に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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