金井貴嗣

金井 貴嗣（かない たかじ）

1951年に東京で生まれた金井 貴嗣氏は、日本の法学界における重鎮の一人です。専門分野は、市場経済のルールを司る独占禁止法および、より広範な経済法に及びます。長年にわたり中央大学で教育と研究に献身し、現在は同大学の名誉教授の称号を保持しています。また、日本の経済法学術研究の中心的な組織である日本経済法学会の理事長を務めた経験も持ち、この分野の発展に多大な貢献を果たしました。

経歴

金井氏は東京都立豊多摩高等学校を卒業後、中央大学法学部にて法学を修めました。母校である中央大学に深い縁を持ち、1976年に同法学部の助手としてそのキャリアをスタートさせます。研究者・教育者としての道を確実に歩み、1981年には助教授に昇任し、1989年には教授となりました。中央大学での在職中、その学識と運営能力は高く評価され、2003年から2007年まで法学部長という要職を務めました。また、2004年からは中央大学大学院法務研究科の教授も兼任し、次世代の法曹育成にも力を注ぎました。2022年に長年勤めた中央大学を退職し、名誉教授の称号を授与されました。学外では、横田正俊記念賞の専攻委員なども務めるなど、様々な方面で活躍しています。

研究と活動

金井氏の研究の中心にあるのは、現代社会において公正かつ自由な競争環境を維持するために不可欠な独占禁止法です。この分野における深い洞察と理論的な探求は、数多くの研究者や実務家に影響を与えてきました。経済法全般においても、その研究は多岐にわたります。

学術団体における貢献も顕著であり、特に日本経済法学会では、2011年から2017年までの長きにわたり理事長として学会の運営を牽引し、日本の経済法学研究の推進に尽力しました。また、日本国際経済法学会の監事も務め、国際的な視点からの研究交流にも関与しました。公的な活動としては、1987年から1989年にかけて文部省学術審議会の専門委員を務めたほか、2000年から2003年には日本学術会議社会法学研究連絡委員会の委員を務めるなど、国の学術政策や研究体制の構築にも貢献しました。

主な著作

金井氏の学術的な成果は、多くの重要な著作として結実しています。その著書は、独占禁止法や経済法を学ぶ学生や研究者にとって基礎となり、この分野の理解を深める上で欠かせない文献となっています。

『ケースブック独占禁止法』（弘文堂、川濱昇氏と共著、2006年）
『独占禁止法』（弘文堂、編著、2004年）
『独占禁止法』（青林書院、2002年）
『独占禁止法の理論と展開（1）』（三省堂、2002年）
『経済法』（有斐閣、江口公典氏、山部俊文氏、土田和博氏と共著、1999年）
『アメリカ・EU独占禁止法と国際比較』（三省堂、1996年）
* 『現代経済社会と法』（三省堂、正田氏、藤原氏、畠山氏と共著、1990年）

これらの著作を通じて、金井氏は日本の独占禁止法・経済法の教育・研究水準の向上に寄与し続けました。中央大学での半世紀近い教育・研究活動と、学外でのリーダーシップは、日本の法学界に確固たる足跡を残しています。

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