金光林 (歴史学者)

金光林（きん こうりん、1963年 - ）は、中華人民共和国出身の日本の歴史学者です。現在は新潟産業大学の教授として教鞭を執り、比較文化、特に東アジア文化史を専門としています。

経歴

中国の東北師範大学外国語学部日本語学科を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科比較文化専攻博士課程を修了しました。1997年9月には東京大学から博士号を取得しています。2009年9月から2010年7月にかけてカリフォルニア大学バークレー校、2010年8月から2011年5月にかけてハーバード大学フェアバンク中国研究センター、2011年6月から8月にかけてロンドン大学東洋アフリカ研究学院でそれぞれ客員研究員として研究活動を行いました。また、2014年11月からは中国の北華大学で客員教授も務めています。

研究内容・主張

金光林氏の研究は、東アジアにおける文化交流史、特に中国文化と朝鮮文化の関係に着目しています。近年問題となっている韓国起源説についても言及しており、以下のような見解を示しています。

韓国人が漢字を発明した、あるいは孔子は韓国人だったという主張は、韓国の学界の定説にはなっていない。しかし、これらの主張が中国に伝わることで、韓国人は中国文化は何でも韓国に宗主権があるという考えだと誤解され、韓国人が中国文化を侵食していると警戒されている。
前近代の東アジアにおいて、中国と朝鮮は漢字文明圏、儒教文明圏に属しており、韓国の独自性が見えにくい。ハンティントンも『文明の衝突』で韓国・朝鮮を中華文明のカテゴリーに入れている。
現代においても、韓国・朝鮮の伝統文化を論じる場合、中国の伝統文化と重複・類似する部分が多く、韓国・朝鮮が自国の文化として主張するものが中国でも自国文化として主張する場合と重なっている。
朝鮮は前近代の歴史において、漢字・儒教・政治・社会制度など多数の領域にわたり中国の影響を受けており、韓国・朝鮮の文化には中国文化との共通的要素が多い。そのため、中国側からすれば、韓国・朝鮮文化の独自性を看過しやすくなる。
韓国・朝鮮では、近代のナショナリズムとの関連から韓国・朝鮮文化の独自性に対する主張が多くなり、印刷術・天文測定器・東洋伝統医学の宗主権論争に見られるように、韓国・朝鮮側が中国起源の文化を過剰に自国の独自文化として主張しているように中国側に受け止められている。

これらの指摘は、文化交流の歴史を冷静に見つめ、ナショナリズムが文化の解釈に与える影響を考察する上で重要な視点を提供しています。

受賞歴

東京大学比較文学会より第9回金素雲賞を受賞（「高麗神社からみた朝鮮渡来文化」（『比較文学研究』第64号所載）［1992年度提出の修士論文］）。

著作

分担執筆

『北東アジア事典』、2006年10月、国際書院
* 『歴史・文化からみる東アジア共同体』、2015年3月、創土社

外部リンク

新潟産業大学の公式サイト

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