金剛寺 (秦野市)

金剛寺の紹介

金剛寺（こんごうじ）は、神奈川県秦野市に位置する臨済宗建長寺派の寺院です。この寺院は長い歴史を持ち、その歴史には多くのドラマが含まれています。特に鎌倉時代における源実朝にまつわる出来事が、金剛寺の成立に深い影響を与えています。

歴史

金剛寺の創建年代ははっきりしていませんが、歴史は1219年（建保7年）にまで遡ります。この年、鎌倉幕府第3代将軍である源実朝が、甥の公暁により暗殺されるという衝撃的な事件が起こりました。実朝の首は公暁に持ち去られ失踪し、その行方は不明となりましたが、三浦義村の家臣である武常晴は、公暁討伐のための軍に参加し、偶然にも実朝の首を手に入れることとなりました。彼はその首を持ち帰らず、この地に埋葬したと伝えられています。

その後、1250年（建長2年）に当地を所領としていた波多野忠綱が、実朝の菩提を弔うために金剛寺を再興しました。寺の内部には実朝の坐像が安置されており、彼の存在を今に伝えています。

文化財

金剛寺には多くの文化財が存在し、特に秦野市指定の重要文化財である木造阿弥陀三尊立像は必見です。2022年に指定されたこの立像は、実朝に由来するとされ、「実朝の念持仏」として珍重されています。中尊の阿弥陀如来は83.5cmの高さで、脇侍の勢至菩薩や観音菩薩もそれぞれ異なる高さで寄木造で作られています。これらの像は、鎌倉時代前期に波多野氏らによって供養のために造立されたものと推測されています。

また、金剛寺には秦野市指定の史跡である源実朝公御首塚も存在します。これは、境内の約300メートル南に位置しており、石造の五輪塔が立っています。五輪塔は当初木造でしたが、1250年の再興時に石造に改められたと伝えられています。さらに、御首塚には歌碑も設けられており、源実朝の詩が刻まれています。この歌は、実朝研究家であり歌人でもある佐佐木信綱の揮毫によるものです。

交通アクセス

金剛寺にはアクセスも便利です。小田急電鉄小田急線の秦野駅から神奈川中央交通バスに乗り換え、「中庭停留所」で下車し、徒歩で約5分の距離に位置しています。周辺の自然も美しく、多くの参拝者が訪れています。

まとめ

金剛寺は、歴史的な背景と豊かな文化財を持つ寺院です。源実朝の物語と深く結びついており、訪れる人々に歴史の重みを感じさせる場所です。観光だけでなく、精神的な安らぎを求める人々にも適したスポットと言えるでしょう。

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