金原亭馬の助 (初代)

初代金原亭馬の助（本名：伊藤武）は、1928年4月9日に東京府四谷区で生まれました。1944年11月に五代目古今亭志ん生に入門し、前座名「志ん駒」を名乗りました。しかし、師匠の志ん生が満州へ慰問に出たため、一時的に八代目桂文楽の門下に移籍するという異例の経歴を持ちます。

1948年3月には二ツ目に昇進し、「むかし家今松」と改名。その後、1955年5月に真打に昇進し、初代金原亭馬の助を襲名しました。馬の助は、その独特の芸風と温かい人柄で多くのファンを魅了しました。

芸人仲間からは「馬さん」の愛称で親しまれ、出囃子は『どうぞ叶えて』でした。また、フジテレビの『お笑いタッグマッチ』に回答者として出演するなど、テレビでも活躍しました。落語家としてだけでなく、鳴り物の名手としても知られ、その才能は多岐にわたりました。

馬の助の得意演目には、師匠である志ん生から受け継いだ『六尺棒』『干物箱』『権助芝居』『徳ちゃん』『宮戸川』などがあります。また、芝居噺にも優れており、『六段目』『七段目』なども得意としていました。

私生活では、一度結婚をして姓を小沼と改めましたが、夫人の病死後に元の伊藤姓に戻しています。1975年12月には、山田五十鈴の『たぬき』再演中に体調を崩し、日本医科大学付属病院に入院。胃がんのため、1976年2月6日に47歳の若さで亡くなりました。

馬の助の死後、弟子たちは十代目金原亭馬生門下に移籍し、その芸を継承しました。主な弟子には、金原亭馬太呂、金原亭駒三郎がおり、アマチュア弟子として和泉家志ん治がいました。

2002年2月には、浅草演芸ホールで二代目馬の助を主任に「先代馬の助二十七回忌追善興行」が催され、多くのファンがその功績を偲びました。

初代金原亭馬の助は、その短い生涯の中で、落語界に大きな足跡を残した人物として、今も多くの人々に語り継がれています。

参考文献として『古今東西落語家事典』（平凡社）があり、詳細な情報が掲載されています。また、コトバンクにも『金原亭馬の助』の情報が掲載されています。

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