金壁東

金壁東（きん へきとう）

金壁東（1896年11月5日 - 1941年1月31日）は、清朝の皇族である粛親王善耆（シャンチ）の七男として生まれました。母は第一側妃のチェンギャ氏、夫人は武毅謀勇公徳寿の娘ウヤ氏です。また、川島芳子の異母兄としても知られています。本名は愛新覚羅憲奎（あいしんかくら けんけい）ですが、後に金壁東と名乗りました。

生い立ちと教育

14歳で陸軍貴冑学堂に入学し、19歳で旅順中学に進みました。1915年には、父の名代としてモンゴルを訪問し、翌年の第二次満蒙独立運動に参加しました。この運動の失敗後、1917年に日本へ留学し、東京振武学校で学びました。また、川島浪速にも師事し、1921年に帰国しました。

政治活動

1924年の北京政変（首都革命）の際、馮玉祥との直談判により清室財産の没収を免れたとされています。この頃から「金壁東」を名乗り始め、王公遺産整理弁公処を設立しました。しかし、張学良の易幟に伴い、この弁公処は解散させられました。その後、北平で満蒙維持会を組織し、会長を務めました。1930年1月には旅順に移り、翌年には大連で貿易会社「金東公司」を設立しました。

満洲国での活動

1931年9月の満洲事変勃発時、金壁東は皇族出身の吉林軍閥・煕洽と関東軍との連絡役を務めました。その後、吉長鉄路局長兼吉敦鉄路局長、長春市政籌備処処長に就任しました。10月には東北交通委員会副委員長に任命され、1932年3月の満洲国建国に際しては、執政府内務処内務官・籌備弁事処督弁、吉林鉄道守備隊中将司令官などの要職を歴任しました。

1933年4月には新京特別市公署市長に任ぜられ、1935年5月には竜江省長に転任しました。1937年7月1日付で退官し、その後は宮内府顧問官、満洲映画協会理事長などを務めました。1939年10月には病気療養中に満洲映画協会理事長を辞任し、後任には甘粕正彦が就任しました。

死去

1941年1月31日、金壁東は北京の仮寓先で病没しました。享年46歳（満44歳）でした。

住居

大連の星が浦に屋敷を構えていました。この屋敷は後に星海賓館のレストランとして使用されましたが、ホテル側の説明では恭親王府と誤って記されていました。現在はホテルとレストラン共に営業を停止しています。なお、近所に恭親王溥偉の屋敷がありましたが、既に取り壊されて現存していません。

参考文献

岡戸理七編『富源満洲国を正視して』海外雄飛社出版部、1934年。
『大満洲帝国名鑑』挙国社、1934年。
徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。ISBN 7-101-01320-1。

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