金子宗平

金子 宗平

（かねこ そうへい）

1937年8月10日、群馬県沼田市に生まれた金子宗平は、昭和時代を代表する日本の陸上競技選手です。特に円盤投においてその才能をいかんなく発揮し、長年にわたり日本のトップ選手として活躍しました。日本記録を7度にわたって塗り替え、ローマと東京の2度のオリンピックに日本代表として出場。また、日本陸上競技選手権大会では前人未到の5連覇を達成するなど、数々の偉業を成し遂げ、日本の円盤投界に大きな足跡を残しました。

競技人生の始まりと飛躍

金子選手の競技人生は、群馬県立高崎工業高等学校時代に本格化します。高校時代には、全国高等学校総合体育大会（インターハイ）で優勝という輝かしい成績を収め、その将来を嘱望されます。日本大学へ進学後もその実力はさらに向上し、1957年にはパリで開催されたユニバーシアードに出場。この国際舞台で日本選手団の旗手という大役を務めました。同年には、自身初となる日本陸上競技選手権大会での優勝を飾り、ここから1961年まで5年連続で頂点に立ち続けるという歴史的な連覇が始まります。

日本記録の更新と国際舞台での挑戦

大学在学中の1958年には、46m49をマークして当時の円盤投日本記録を更新。これを皮切りに、その後も自己の記録を研鑽し続け、実に7回にわたって日本記録を塗り替えていきます。大学卒業後はリッカーミシンに入社し、社会人選手として競技を継続。東日本実業団選手権では円盤投だけでなく砲丸投でも優勝を飾るなど、多才な一面を見せ、1959年から1961年まで3年連続で円盤投のタイトルを獲得しました。

国際大会にも積極的に挑戦し、1960年にはローマオリンピックに日本代表として選出され、自身初の五輪出場を果たします。惜しくも予選敗退となりましたが、世界の強豪が集う舞台で貴重な経験を積みました。1962年にジャカルタで開催された第4回アジア大会では、円盤投で銅メダルを獲得し、日本の陸上界に貢献します。そして、自国開催となる東京オリンピックに向けた準備を進める中、1963年の東日本実業団選手権では50m92を投げるなど好調を維持。プレオリンピックとして行われた東京国際スポーツ大会では再び日本選手団の旗手という重責を担い、この大会で51m10という新たな日本記録を樹立し、東京オリンピックでの活躍への期待を高めました。

2度のオリンピックと不朽の記録

1964年の東京オリンピックでは、地元開催ということもあり上位進出が期待されましたが、記録は46m46にとどまり、無念の予選敗退となりました。しかし、金子宗平の功績はオリンピックの結果だけで測られるものではありません。特に、日本選手権における5連覇という記録は、2004年に畑山茂雄選手が更新するまで、約40年もの長きにわたって破られることのない不朽の金字塔として、後進の選手たちに目標とされてきました。

家族と晩年

金子選手の陸上への情熱は、実子である金子宗弘氏にも受け継がれました。宗弘氏は十種競技の日本記録保持者となるなど、親子二代にわたって日本のトップアスリートとして活躍。1986年の山口インターハイで宗弘氏が優勝した際には、父子二代でのインターハイ優勝として大きな話題となりました。

現役引退後、金子選手はアマチュアゴルフ選手として新たな才能を開花させます。晩年はゴルフに熱中し、群馬県都市対抗ゴルフ選手権や群馬県シニアゴルフ選手権で優勝するなど、群馬県屈指のプレーヤーとしてその存在感を示しました。

病との闘いも経験し、2002年には胃癌の手術を受けましたが、その後も活動を続けました。しかし、2006年7月31日、膵臓癌のため70歳を目前にこの世を去りました。

金子宗平は、円盤投選手としての輝かしい記録と功績に加え、日本代表の旗手という象徴的な役割も2度務めるなど、日本の陸上競技史において重要な人物です。選手としての偉業だけでなく、引退後の活動や家族との絆など、その人生は多岐にわたり、多くの人々に影響を与えました。

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