金子正則

金子正則は、1907年（明治40年）に香川県丸亀市で生まれ、その生涯を政治家、そして判事として日本社会に貢献しました。東京帝国大学法学部を卒業後、司法官試補となり、大阪、旭川、札幌、長野、東京の各地裁判所で判事を歴任しました。戦後、東京控訴院部長を退官し、故郷の丸亀市で弁護士として活動を開始しました。

1947年には香川県副知事に就任し、その後1950年の香川県知事選挙で当選。以後6期24年という長きにわたり県知事を務めました。知事在任中には、吉野川から香川用水を引くという大規模な事業を成功させ、県民の生活基盤を向上させました。また、香川医科大学（現在の香川大学医学部）の開設を推進し、県の医療体制の充実にも尽力しました。さらに、讃岐うどんを県の特産品としてPRするなど、県経済の活性化にも大きく貢献しました。

1962年の3選時には無投票で当選し、その実績は県民からの厚い信頼の証でした。全国知事会の副会長も務め、地方自治の発展にも寄与しました。しかし、1966年の知事選と県議選では、公職選挙法違反で関係者が逮捕されるという事件も発生し、社会党などから不信任決議案が提出されましたが、これは否決されました。1967年には「香川県の建築及び都市開発のデザイン・ポリシー」が毎日芸術賞特別賞を受賞し、その中心人物として金子正則の名前が広く知られることとなりました。1974年の知事選挙で敗れ、引退を余儀なくされました。

知事退任後も、金子法律事務所を開業し、1977年には勲一等瑞宝章を受章しました。1980年には香川県名誉県民となり、その功績が讃えられました。1996年10月21日、心不全のため89歳で生涯を閉じました。

金子正則は、芸術家との交流も深く、イサム・ノグチや猪熊弦一郎などの芸術家と親交がありました。1958年の香川県庁舎（現・東館）建設にあたっては、猪熊の助言により丹下健三に設計を依頼し、壁画は猪熊自身が制作しました。また、大江宏、芦原義信、浅田孝ら著名な建築家とも交流があり、香川県文化会館や香川県立丸亀高等学校武道館など、県内の重要な建築物の建設に尽力しました。これらの事績は、金子正則が単なる政治家としてだけでなく、文化人としても高い見識を持っていたことを示しています。

金子正則は、香川県の発展に大きく貢献した人物として、今もなお多くの人々に記憶されています。その業績は、香川県の歴史において重要な位置を占めています。

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