金子祐介

金子祐介：不屈の精神で記録を打ち立てたスキージャンプ選手

金子祐介（かねこ ゆうすけ）は、1976年4月18日、北海道札幌市に生まれました。元スキージャンプ選手であり、現在は指導者として活躍しています。2005年から2012年まで、札幌大倉山ジャンプ競技場のバッケンレコード（145.0m）を保持していたことでも知られています。

生い立ちと競技キャリア

金子選手は、札幌市立盤渓小学校、札幌市立宮の森中学校、札幌日大高校、日本大学と進学しました。現在は東京美装興業に所属しています。父親の金子茂も元スキージャンプ選手という、まさにジャンプ一家で育ちました。

2005年3月25日、札幌大倉山ジャンプ競技場で行われた伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイタージャンプ大会で、2本目に145.0mという驚異的なバッケンレコードを記録しました。これは、2002年に原田雅彦が記録した141.0mを4mも更新するものでした。本人は、目が悪く暗い着地斜面が見えなかったため、気づいたら一番下の笹を越えて飛んでいたと語っています。

翌2006年シーズンも好調を維持し、トリノオリンピックへの出場が期待されていました。しかし、2005年11月28日、フィンランドのロヴァニエミでの合宿中に、フライト中に板が外れるという不慮の事故に見舞われ、顔面から墜落。現地の病院で緊急手術を受けましたが、顔面骨折と脳挫傷で意識不明のまま日本へ搬送されました。その後、意識は回復したものの、自分の名前すら思い出せないほどの記憶喪失に苦しみました。

驚異的な復活

リハビリ中、誰に教えられるでもなくジャンプのクラウチング姿勢をとったというエピソードは、彼のスキーへの情熱を物語っています。婚約者や、自身のスキーへの情熱に支えられ、リハビリを重ねた結果、翌シーズンに劇的な復活を果たします。2006年11月には、秋田県鹿角市花輪シャンツェでの復帰戦でいきなり優勝を飾りました。2007年11月には、婚約者と結婚しています。

その後、一時成績が落ち込む時期もありましたが、2007年2月13日の第22回国民体育大会ジャンプ成年Bの部で優勝。復帰戦で優勝を遂げた花輪シャンツェでの勝利でした。

2008年3月2日、金子選手はシーズン限りでの現役引退を表明しました。同年3月22日の伊藤杯シーズンファイナルで4位入賞を果たし、大倉山のバッケンレコードを保持したまま現役生活に別れを告げました。

引退後

怪我からの復活、そして引退までを追ったドキュメンタリー番組が2008年に製作され、2013年には、これを基にしたドラマ『バッケンレコードを超えて』が制作されました。

2014/2015シーズンからは、東京美装スキーチームおよびスキージャンプ男子ナショナルチームのコーチに就任し、後進の指導にあたっています。

主な競技成績

1993年　ノルディックスキージュニア世界選手権　団体8位
1993年　ノルディックスキージュニア世界選手権　個人50位
1997年　第18回ユニバーシアード冬季競技大会　ノーマルヒル団体金メダル
1997年　第18回ユニバーシアード冬季競技大会　ラージヒル個人銅メダル
1999年　第19回ユニバーシアード冬季競技大会　ノーマルヒル団体金メダル
1999年　第19回ユニバーシアード冬季競技大会　ラージヒル個人銅メダル
1999年　第19回ユニバーシアード冬季競技大会　ノーマルヒル個人4位
1992年　第23回名寄ピヤシリジャンプ大会少年組　優勝
1994年　第49回国民体育大会冬季大会少年組　優勝
1997年　第39回雪印杯全日本ジャンプ大会成年組　優勝
1997年　第36回STVカップ国際スキージャンプ競技大会兼FISコンチネンタルカップ　優勝
1998年　第14回吉田杯ジャンプ大会成年組　優勝
2000年　第55回国民体育大会冬季大会スキー競技会成年A　優勝
2001年　第56回国民体育大会冬季大会スキー競技会成年A　優勝
2003年　第15回国際蔵王ジャンプ大会NHK杯兼FISコンチネンタルカップ　優勝
2004年　第38回雪印杯全日本ジャンプ旭川大会成年組　優勝
* 2007年　第62回国民体育大会冬季大会スキー競技会成年B　優勝

金子祐介は、その競技人生を通して、不屈の精神と努力の大切さを示してくれました。怪我を乗り越え、再び頂点を目指す姿は、多くの人々に感動と勇気を与えたと言えるでしょう。

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