金山城 (美濃国)

美濃金山城

美濃金山城は、岐阜県可児市（旧美濃国可児郡兼山）の古城山山頂に築かれた山城です。その歴史は戦国時代に遡り、斎藤氏、織田氏、そして森氏といった有力な武将たちによって支配されました。現在、城跡は「美濃金山城跡」として国の史跡に指定されており、その遺構は当時の様子を今に伝えています。

城の構造

金山城は、標高約277メートルの古城山山頂に築かれた梯郭式山城です。山頂には天守台が設けられ、本丸を中心に二の丸、三の丸、南腰曲輪、西腰曲輪が連郭式に配置されています。さらに、天守台北東側には東腰曲輪と呼ばれる一郭があります。城全体は、山頂部を中心に各曲輪が複雑に配置され、要塞としての機能を果たしていました。

本丸（天守台）

古城山の山頂に位置し、城の中心部でした。周囲は土塀で囲まれ、北側に天守、南東側に小天守、さらにその南西側に袖櫓が隣接していました。中央部には本丸御殿、南西側には西南隅櫓が設けられていました。現在は鳥竜神社が鎮座し、本丸北西側には石碑が建てられています。

天守

本丸北隅に位置した二重二階層塔型の櫓で、小天守と複合した構造でした。安土城天守と同時期に造られたと考えられています。かつては犬山城に移築されたという説がありましたが、近年の調査で否定されています。

小天守

本丸東隅に位置し、天守の附櫓でした。床下には深さ約1.9メートルの穴蔵がありました。この穴蔵には、2つの出口が設けられており、その独特な構造は他に類を見ないものです。

袖櫓

本丸南側に位置し、小天守と隣接していました。現在は礎石のみが残っています。

本丸御殿

本丸の中央部に位置し、城主の居館として使用されました。跡からは食器などの遺物が出土しており、その規模は東西約11メートル、南北約12.7メートルでした。

西南隅櫓

本丸南西隅に位置した二層の隅櫓で、現在は6個の礎石のみが残っています。

仕切門

本丸中央部にあった門で、現在は礎石のみが残っています。

大手枡形

二の丸から本丸へ登る途中に設けられた空間で、大手門と二の門がありました。

大手門

大手枡形の南側に位置し、通称「追手門」とも呼ばれました。犬山城に移築された後、瑞泉寺に移築され現存しています。

二の門

大手枡形の東側に位置し、犬山城に移築された後、瑞泉寺に移築され、現存しています。

二の丸

南腰曲輪の南側に位置し、家臣団の屋敷がありました。見張櫓と二の丸門が設けられていました。

二の丸見張櫓

二の丸南側に位置し、城の東側を見渡せる重要な櫓でした。

二の丸門

二の丸北側に位置し、現在は礎石のみが残っています。

三の丸

西腰曲輪の南側に位置し、厩などがあったと考えられています。見張櫓と三の丸門が設けられていました。

三の丸見張櫓

三の丸中央部に位置し、城の要所でした。

三の丸門

三の丸南側に位置し、現在は礎石のみが残っています。

出丸

城の第一防衛線として大手口に築かれた曲輪で、城内で最も広い曲輪でした。櫓と表門がありました。

出丸櫓

出丸の南東隅に位置し、現在は礎石のみが残っています。

出丸表門

出丸の東側に位置し、現在は礎石のみが残っています。

南腰曲輪

本丸南側に位置し、武器櫓がありました。

武器櫓

南腰曲輪の中央に位置し、平瓦で葺かれていたことが確認できます。

西腰曲輪

三の丸の北東側に位置し、三の丸見張櫓との間に水手門がありました。

水手門

西腰曲輪と三の丸見張櫓の間に位置し、水の手への入り口でした。

東腰曲輪

本丸の東隣に位置し、天水井戸がありました。

天水井戸

東腰曲輪西側に位置し、雨水を貯めていたと考えられています。

帯曲輪

本丸の南側に位置し、搦手門がありました。

搦手門

東腰曲輪の南東隅に位置し、現在は礎石のみが残っています。

その他

北方物見櫓

城の北端に位置し、簡単な造りでした。

左近屋敷

古城山の中腹に位置し、細野左近の館でした。

南東方物見櫓

左近屋敷の南に位置していました。

水の手

城の北西側に位置する湧水で、城兵の飲料水として利用されていました。

歴史

金山城の歴史は、1537年に斎藤道三の養子である斎藤正義が烏ヶ峰に築城したことに始まります。当初は烏ヶ峰城と呼ばれていました。1565年、織田信長がこの城を奪取し、家臣の森可成を城主に据え、金山城と改称しました。森可成は城下町の建設に着手し、市場や職人町などを整備しました。その後、森氏の支配を経て、関ヶ原の戦いを経て廃城となりました。

近現代

明治以降、城跡は国有地となり、その後、地元に払い下げられました。2006年には可児市によって発掘調査が行われ、多くの遺物が出土しました。2017年には続日本100名城に選定されています。

アクセス

鉄道：名鉄広見線明智駅または顔戸駅、JR高山線古井駅から徒歩。
バス：YAOバス城戸坂バス停から徒歩。
自動車：中央自動車道土岐ICまたは東海環状自動車道可児御嵩ICから車。

もう一度検索