金峰山 (熊本県)

金峰山について

金峰山（きんぼうざん、きんぽうざん）は、熊本県熊本市西区に位置する標高665mの一ノ岳を中心とした火山です。一般的には一ノ岳を指しますが、これは中央火口丘であり、熊ノ岳（二ノ岳）、三ノ岳、荒尾山などの外輪山を含む山々の総称です。

火山の成り立ち

金峰山の形成は阿蘇山よりも古く、100万年以上かけて徐々に形成されました。約56万年前から50万年前には火山活動が活発になり、外輪山の縁が噴火し二ノ岳や三ノ岳が誕生しました。その後、西山地域にはカルデラ湖が形成され、約20万年から15万年前に最後の噴火が起こり、溶岩ドームである一ノ岳が形成されました。現在、火山活動は停止しています。

熊本のシンボル

阿蘇山が「火の国」熊本のシンボルとして知られる一方で、金峰山は熊本市を象徴する山として市民に親しまれています。山頂には展望台があり、晴れた日には有明海や島原半島、天草諸島まで見渡すことができます。夜には熊本市街の美しい夜景を一望できます。

歴史と文化

金峰山周辺には、巨石が横たわる拝ケ石巨石群や、宮本武蔵が「五輪書」を執筆したとされる霊巌洞、雲巌禅寺など、歴史や文化を感じられる場所が多くあります。また、夏目漱石の小説「草枕」に登場する峠の茶屋も山中にあります。麓には、宮本武蔵ゆかりの美術品を収蔵する島田美術館や加藤清正の菩提寺である本妙寺などもあり、熊本の歴史を語る上で重要なエリアとなっています。

自然とアクティビティ

金峰山一帯は金峰山県立自然公園に指定されており、公園や観光農園も点在します。二ノ岳、三ノ岳、小萩山へのハイキングコースや登山道が整備されており、多くの人々が自然を満喫しています。山の斜面では河内みかんが栽培されており、みかん運搬用のミニモノレールが設置されています。

放送施設

金峰山からは有明海周辺地域が広く見渡せるため、山頂にはテレビやラジオの放送所のほか、マルチチャネルアクセス無線システムや警察庁の業務無線局が設置されています。

金峰山の呼称

古くは「飽田山」と呼ばれていましたが、奈良県の吉野地方にある金峰山から勧請された金峰山神社が山頂に建立されて以来、「金峰山」と呼ばれるようになりました。文献によっては「金峯山」と記述されることもあり、古くは「きぼうさん」と呼ばれていたこともあります。地元の河内地区では「きんぼうざん」と呼ばれており、河内小学校の校歌にもそのように歌われています。

熊本テレビ・FM放送所

金峰山には熊本県内をカバーするテレビ・FM放送所があります。標高665mの高さから放送電波が発信され、熊本県内はもちろん、有明海沿岸地域にも広く届いています。かつては、雲仙岳噴火の影響で島原中継局が閉鎖された際、金峰山に臨時中継局が設置され、島原地区への放送が行われたこともあります。

アクセス

熊本桜町バスターミナルから九州産交バス河内温泉行に乗車し、「峠の茶屋」で下車すると、金峰山へアクセスできます。

金峰山は、その美しい自然、歴史、文化、そして市民に親しまれるシンボルとして、多くの人々に愛されています。

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