金昌奉

金 昌奉（キム・チャンボン）の生涯と業績

金昌奉（1919年-？）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の軍人および政治家であり、金日成が指導する朝鮮労働党の一派として知られる満州派に所属していました。彼は朝鮮人民軍の大将であり、金昌鳳とも表記されることがあります。また、金昌徳は彼の実兄とされています。

幼少期と若年期

金昌奉は1919年に咸鏡北道の慶源郡で生まれました。彼の幼少期から青年期にかけては、日本の植民地支配に対抗するための抗日活動に従事することになります。彼は東北抗日聯軍第1路軍第5師でパルチザン活動を行い、日本軍の討伐を逃れるためにソ連領へと移ります。ソ連軍の偵察部隊としても活動し、戦争の混乱の中で軍事的な経験を積み重ねていきました。

戦後の活動

第二次世界大戦終結後、金昌奉は姜健の指導のもと、1946年に帰国しました。帰国後は鉄道警備隊の創設に関与し、後に38度線警備保安隊の大隊長へと昇進します。1947年8月14日までその職務にあった彼は、朝鮮戦争が勃発する直前に第3師団第7連隊長に就任しました。

1950年に入ると、金昌奉は第19師団長、そして第12師団長を歴任し、最終的には1951年に第8軍団長に昇進しました。彼の軍事的手腕は高く評価され、1953年には少将に昇進し第7軍団長となります。

ソ連留学と政治的活動

金昌奉は1956年半ばから1958年9月まで、ソ連の軍事アカデミーに留学しており、帰国後は党の重要な役職に就くことになります。1956年の朝鮮労働党第3回党大会で党政治委員会の委員候補に選ばれ、1959年7月からは朝鮮人民軍総参謀長の職に着任しました。その後、1961年の党大会では政治委員に選出され、さらなる権力を得ます。

国防大臣としての活動と失脚

1962年10月、金昌奉は民族保衛相、すなわち国防大臣に就任します。彼の政治的立場は強固に思われたものの、1966年10月の党代表者会で政治委員に選ばれるも、1969年には深刻な批判を受けることになります。「国庫を浪費して最先端の武器ばかり購入しようとした」との指摘や、「労農赤衛隊を無視した」との非難が彼の失脚に繋がることになります。

金昌奉の生涯は、北朝鮮初期の軍事と政治の歴史を物語る重要な事例であり、彼の業績や失脚を通じて、当時の政治的状況や軍の役割を理解する上で重要な情報を提供しています。今後も彼に関する研究が進むことが期待されます。

参考文献

• - 和田春樹『金日成と満州抗日戦争』平凡社、1992年。
• - 徐大粛『金日成と金正日』岩波書店、1996年。
• - 韓国国防部軍史編纂研究所の関連資料。
• - 김선호 (2020). 『조선인민군: 북한 무력의 형성과 유일체제의 기원』 한양대학교 출판부.

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