金本良嗣

金本良嗣（かねもと よしつぐ）

金本良嗣は、1950年生まれの日本の経済学者で、都市経済学、交通経済学、公共経済学を専門としています。東京大学名誉教授、政策研究大学院大学特別教授、電力広域的運営推進機関初代理事長など、多くの要職を歴任しました。

学歴と職歴

東京大学在学中は大石泰彦教授のゼミに所属していました。大学院入試に失敗したため、東京大学経営学科に学士入学し、その後、コーネル大学でPh.D.を取得しています。1977年にはブリティッシュコロンビア大学経済学部助教授に就任し、その後、筑波大学助教授、クイーンズ大学訪問准教授などを経て、1987年に東京大学経済学部助教授として帰国しました。東京大学では、助教授から教授へと昇進し、公共政策大学院の院長も務めました。

2011年からは政策研究大学院大学教授となり、2012年からは副学長も兼任しています。2015年には、電力広域的運営推進機関の初代理事長に就任し、日本の電力システム改革に貢献しました。2020年には国土交通省交通政策審議会会長代理、2021年には同審議会会長を務め、交通政策の立案にも深く関与しています。

研究業績

金本教授は、都市経済学の分野で、ヘンリー・ジョージの定理を応用して、最適な都市の規模について考察するなど、理論的な貢献をしています。また、交通政策の経済学にも精通しており、鉄道の運賃や投資政策に関する研究も行っています。さらに、公共経済学の観点から、税制や公共セクターの効率化に関する研究も展開しています。

受賞歴

1981年には、著書 "Theories of Urban Externalities" により、第24回日経・経済図書文化賞を受賞しました。この著書は、都市の外部性に関する理論を体系的にまとめたもので、都市経済学の分野における重要な貢献として高く評価されています。

著書

単著

Theories of Urban Externalities (North-Holland, Elsevier Science Ltd., 1980)
都市経済学 (東洋経済新報社, 1997年)
日本の建設産業 - 知られざる巨大業界の謎を解く (日本経済新聞社, 1999年)

共著

税制改革の新設計（日本経済新聞社, 1994年） - 井堀利宏、宮島洋、野口悠紀雄、大田弘子、田近栄治、油井雄二との共著
政策評価ミクロモデル（東洋経済新報社, 2006年） - 藤原徹、蓮池勝人との共著

編著

交通政策の経済学（日本経済新聞社, 1989年） - 奥野正寛、篠原総一との共編
公共セクターの効率化（東京大学出版会, 1991年） - 宮島洋との共編
交通〈講座・公的規制と産業〉（東京大学出版会, 1991年） - 山内弘隆との共編
日本の財政システム - 制度設計の構想（東京大学出版会, 1994年） - 貝塚啓明との共編
道路投資の便益評価 - 理論と実践（東洋経済新報社, 2008年） - 森地茂との共編

主要な論文

"Pricing and Investment Policies in a System of Competitive Commuter Railways" (Review of Economic Studies, 1984)
"Hedonic Prices and the Benefits of Public Projects" (Econometrica, 1988)

公式ウェブサイトなど

公式ウェブサイト
教員・所属研究者情報 金本良嗣 - 政策研究大学院大学
* ファカルティ・フェロー 金本良嗣 - 経済産業研究所 (RIETI)

金本教授の研究は、都市経済学、交通経済学、公共経済学の分野において、重要な貢献をしており、理論と実践の両面で、日本の政策立案に大きな影響を与えています。

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