金森重頼

金森重頼（かなもり しげより）

金森重頼は、慶長元年（1596年）に生まれ、慶安3年閏10月7日（1650年11月30日）に没した、飛騨高山藩の第3代藩主です。

生涯

幼少の頃より徳川家康に仕え、慶長18年（1614年）には長門守に任ぜられました。大坂の陣では、父である金森可重の軍に属することなく、家康の傍で従軍しています。可重が急死した後、家康の命により跡を継ぎました。通常であれば、長兄の重近や次兄の重次が後継者となるはずでしたが、重頼が選ばれた背景には、様々な説があります。

重頼は、祖父と父が築き上げた高山藩の藩政に尽力しました。新田開発や銀山の開発を進め、地元では名君として称えられています。元和元年（1615年）の一国一城令により、古川の増島城と萩原の萩原諏訪城を廃し、陣屋を設けています。また、藩主就任の際には、父可重の遺品である茶壺の名品「雲山肩衝」を将軍秀忠に献上しましたが、後に返されています。

元和4年（1618年）には、改易処分となっていた松平忠輝を預かることになりました。忠輝は一時飛騨に滞在しましたが、後に信濃国諏訪藩に移されています。

元和5年（1619年）には出雲守に任ぜられています。寛永の大飢饉の際には、「雲山肩衝」を売却し、その資金を藩士や農民の救済にあてたという逸話が残っています。将軍の参内や日光東照宮参拝にも常に従い、幕府からの信頼も厚かったようです。取り潰しとなった大名の身柄を預かることもありました。

藩政では、新田開発や鉱山開発に力を入れました。また、茶の湯や和歌、連歌を嗜む風流人でもありました。領内では作陶の窯も開かせています。

慶安3年（1650年）に江戸の藩邸にて55歳で亡くなり、跡を子の頼直が継ぎました。重頼の死後、家臣4名が殉死しました。

家督相続について

なぜ三男である重頼が家督を継いだのかは、諸説あり定かではありません。長兄の重近と父親の不和、長兄と徳川家の不和、長兄と次兄の実母と可重の愛妾であった重頼母の確執などが原因として挙げられます。また、重頼が徳川家康と懇意であったことも影響した可能性があります。

また、『断家譜』や『金森家譜』には、重頼が実は伊東治明の子であるという記述があります。この説が正しければ、重頼は藩祖である金森長近の血を引くことになります。二代目の可重は養子であり長近との血縁がないため、重頼の家督相続は金森家の血統を回復させる意味合いもあったのかもしれません。

親族

金森家は、豊臣秀吉の親族である小出氏と数代にわたり婚姻関係を結んでいます。小出秀政の妻は秀吉の母の妹であり、その子である小出吉政の妻は重頼の姉妹です。また、秀政の側室の子である小出三尹の妻は金森可重の娘で、その子である小出有棟の妻は重頼の娘です。

脚注

岐阜県史通史編 近世上

参考文献

* 『岐阜県史通史編 近世上』岐阜県、1968年、538頁-540頁

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