金森可重

金森可重（かなもり ありしげ / よししげ）

金森可重は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、大名、そして茶人として知られています。飛騨国高山藩の二代目藩主であり、その治世は文化と武道の両面で特筆されます。

生涯

永禄元年（1558年）、美濃国の垂井城主・長屋景重の子として生まれました。幼名は喜蔵、または喜三丸。後に金森長近の養子となり、郡上八幡城主・遠藤慶隆の娘、室町殿を娶りました。「可重」の名は、養父・長近がかつて名乗っていた「可近」に由来します。

本能寺の変後、織田家の後継者争いが起こる中、金森氏は当初柴田勝家陣営に属しましたが、後に羽柴秀吉（豊臣秀吉）陣営に寝返り、その後の戦いで重要な役割を果たしました。天正13年（1585年）には、養父とともに富山の戦いや飛騨平定戦に参加し、飛騨一国を与えられた長近から古川郷1万石を譲られ、増島城を築きました。

その後も、豊臣秀吉の九州征伐や小田原征伐、文禄・慶長の役、会津征伐などに従軍しました。慶長4年（1599年）には、古田織部や小堀遠州らと共に吉野で花見を催し、文化人としての交流も深めました。

関ヶ原の戦いでは東軍に付き、上杉征伐に参加。家康の命で飛騨に戻り、西軍の稲葉貞通が籠城する郡上八幡城を攻め落としました。本戦にも参加し、石田三成勢と戦いました。慶長10年（1605年）、養父・長近が飛騨一国と高山城の采配を可重に譲り、自身は美濃国に移りました。慶長13年（1608年）、長近の死後、可重は正式に飛騨高山3万8千石を相続し、飛騨一国を領有しました。

茶の湯にも深く通じており、千利休や古田織部に師事し、利休切腹後には千道安にも学んでいます。吉野竹林院での織部による利休亡魂の茶会にも参加しました。徳川家康は、二代将軍・徳川秀忠の茶の湯指南役を可重に任じようとしましたが、一国の大名であったため、古田織部を指名したと伝えられています。また、伊達政宗とも親交があり、和歌の応酬や文通を行っていました。

慶長15年（1610年）には名古屋城築城の負担を請け負い、慶長16年（1611年）には徳川家康に山漆草を献上しました。同年、義弟の長光が夭逝し、その領地は幕府に収公されました。

大坂の陣では、四男の可次と五男の重勝を伴って出兵し、樫井の戦いで西軍を撃退しました。この際、東軍参加に異議を唱えた長男・重近を廃嫡したとされています。戦後、丹波一国40万石を与えられる予定であったとの説もありますが、戦役直後の元和元年（1615年）、58歳で京都伏見にて死去しました。死因は不明で、切腹説や毒殺説も存在します。法号は「徳応院殿雲峰閑公」。墓所は京都市北区の大徳寺金龍院（龍源院に統合されています）。龍源院には、現存する国産火縄銃の中で最も古いとされる銃が遺品として残されています。

可重の死後、金森氏の家督は三男の重頼が継ぎました。

金森可重は、武将としての活躍だけでなく、文化人としての側面も持ち合わせていました。特に茶の湯に対する造詣は深く、その影響は後世にも及んでいます。また、領国経営にも力を注ぎ、飛騨の発展に貢献した人物として評価されています。

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