金津町

金津町：北陸街道の宿場町からあわら市へ

福井県に位置していた金津町は、古くから北陸街道の宿場町として栄え、歴史と文化を育んできた町です。2004年（平成16年）3月1日、芦原町と合併してあわら市となり、その歴史に幕を閉じましたが、かつての面影は現在もあわら市に息づいています。

町の歴史：幾度かの合併を経て

金津町の歴史は明治時代まで遡ります。1889年（明治22年）、町村制の施行により、北金津町、南金津村、新町の区域をもって金津町が発足しました。その後、昭和29年（1954年）には近隣の吉崎村、細呂木村、坪江村、伊井村と合併、さらに翌年には剣岳村を編入し、町域を拡大しました。昭和30年（1955年）には芦原町の一部を編入する一方、一部の区域を丸岡町に編入するといった変遷も経験しています。これらの合併は、地域社会の変容と発展を反映していると言えるでしょう。そして、平成16年（2004年）、芦原町との合併によって、金津町はあわら市の一部として、新たな歴史を刻むことになりました。

経済と産業：農業と商工業の連携

金津町の経済は、古くから農業が盛んであり、質の高い農産物が生産されていました。特に米作が中心で、近郊の都市部への供給を担う重要な役割を果たしていました。『大日本篤農家名鑑』にも、金津町出身の著名な篤農家が掲載されており、その農業技術の高さが窺えます。また、北陸街道の宿場町としての役割も果たしていたため、商工業も発達し、地域経済を支えていました。農業と商工業が連携した経済構造は、金津町の発展を支える大きな力となっていたと考えられます。

教育：地域社会を支える教育機関

金津町には、町立の小学校（金津小学校、金津東小学校、伊井小学校、細呂木小学校）と中学校（金津中学校）、そして福井県立金津高等学校など、教育機関が整備され、地域社会を支える人材育成に貢献していました。これらの学校は、地域の子供たちの学び舎として、そして地域の文化・歴史を継承する役割を担っていました。

交通：北陸街道と鉄道、そして高速道路

金津町は、古くから北陸街道が通っており、交通の要衝として栄えてきました。鉄道ではJR北陸本線が走り、かつては金津駅がありました（1972年（昭和47年）3月に芦原温泉駅に改称）。細呂木駅、牛ノ谷駅も町内に存在し、交通の利便性を高めていました。さらに、北陸自動車道の金津インターチェンジも整備され、近隣地域とのアクセスが向上しました。

文化と娯楽：映画館と郷土の芸能

金津町には、かつて金津東映劇場という映画館がありました。映画を通じて、町民に娯楽を提供し、文化的な交流の場となっていたと考えられます。また、地元の伝統芸能や祭りなども盛んであり、地域住民の生活に彩りを添えていました。

著名な出身者：様々な分野で活躍

金津町からは、政治家、実業家、文化人など、様々な分野で活躍した著名な人物を輩出しています。例えば、衆議院議員を務めた熊谷五右衛門氏、岡田伊太郎氏、起業家の平尾憲映氏、囲碁棋士の志田達哉氏、毎日放送アナウンサーの藤林温子氏、北陸放送アナウンサーの久保田修平氏などが挙げられます。これらの著名人たちの活躍は、金津町の歴史と文化を内外に広く知らしめることに貢献しました。

金津町は、その歴史と文化、そして人々の努力によって発展を遂げ、あわら市へと継承されました。その歴史と記憶は、現在もあわら市の発展の礎となっていると言えるでしょう。

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