金漢一

金漢一（キム・ハンイル）

金漢一（きん かんいち、キム・ハンイル、1964年生まれ）は、在日韓国人2世として、日本で活動する著名な記者です。彼は朝日新聞社に勤め、神奈川県に住んでいます。彼の国籍は大韓民国であり、日々の報道活動を通じて日本社会における在日韓国人の立場や歴史について鋭い視点を提供しています。

略歴

金漢一は1964年に生まれました。彼の父親は慶尚南道の居昌郡出身で、1938年頃に中国を経て日本に移住しました。金漢一は1970年、福島県郡山市にある福島朝鮮初中級学校に入学し、後に宮城県仙台市の東北朝鮮初中級学校に転校します。彼は小学校から高校までの12年間を朝鮮学校の寮生として過ごし、1987年には朝日新聞社に入社しました。

2000年には記者専業となり、初めてのワールドカップサッカーの取材のために韓国を訪れました。また、2001年に大韓民国領事館で国籍を韓国に変更し、『ヘラルド朝日』にてスタッフライターとしての役割も果たしました。彼は2002 FIFAワールドカップにおいて、韓国開催の試合の取材を担当し、重要な報道を行いました。現在は朝日新聞の国際編集部に所属しています。

言論活動

金漢一は自身の経験に基づいた意見を公表しています。2007年には民団（在日本大韓民国民団）の機関紙『民団新聞』において、8月15日の光復節について「南北がともに祝える日」と表現しました。また、幼少期には近所の日本の子どもたちに「日本は負け。僕らゴミクズは解放」という言葉を投げかけた思い出を語っています。これらの発言から彼の少年時代の複雑な感情がうかがえます。

2009年、韓国の国会で在外韓国人に選挙権を与える法改正の際には『東亜日報』に寄稿し、「私のような在日韓国人にとって、初めて選挙権を持つことは大切な意義があり、帰属感を得る機会となる」と述べました。こうした発信は在日韓国人のアイデンティティに関する重要な議論を促進しています。

著作

金漢一の著書『朝鮮高校の青春 ボクたちが暴力的だったわけ』は2005年に出版され、彼自身の学生時代の体験を詳細に描写しています。本書では、日曜ごとにおこなわれた「暴力的」な行為や、朝鮮学校内での厳しい教育体制、特に金日成の崇拝について語られています。彼は、自身が在学中に経験した暴力行為がどのように日常的に行われていたかを生々しく伝えており、他校生に対する加害行為や、学校の方針としての厳しい文化についても記述しています。

彼の作品は、朝鮮学校での教育体制や青春時代の葛藤を混在させながら、集団的な体験として語られており、今後の日本社会における在日韓国人の存在や視点に対する理解を深める助けとなるでしょう。

主著

• - 金漢一: 『朝鮮高校の青春 ボクたちが暴力的だったわけ』光文社、2005年4月。ISBN 978-4334974800。

金漢一の言葉と著作は、在日韓国人としての歴史や文化、そしてアイデンティティについての深い洞察を与えてくれる貴重な資料です。

もう一度検索