金谷眞一

金谷眞一：日光金谷ホテルを名門へと導いた実業家

金谷眞一（1879年12月8日 - 1967年2月16日）は、日本の実業家であり、日光金谷ホテルの代表取締役社長を務め、帝国ホテルや富士屋ホテルの取締役も歴任しました。また、日光電気軌道の監査役も務めました。

生い立ちと立教学校での学び

1879年（明治12年）12月、栃木県の日光金谷ホテル創業者である金谷善一郎の長男として生まれました。日光金谷ホテルは、1873年（明治6年）にジェームズ・ヘボンの勧めにより、外国人向けの民宿「金谷カッテージ・イン」として創業された、現存する日本最古のリゾートホテルとして知られています。

明治期に立教学校（立教大学の前身の一つ）の初代校長を務め、建築家としても活躍したジェームズ・ガーディナーは、金谷善一郎に、日光を訪れる外国人向けに本格的なホテルが必要になることを助言しました。そして、長男である眞一に、自身が教える築地の立教学校で英会話を含む英学を学ぶことを勧めました。当時、外国人向けのホテルでは英語を話せるガイドが必要とされていたためです。

1892年（明治25年）、眞一は築地の立教学校に入学しました。翌1893年（明治26年）には、父・善一郎が「金谷ホテル」を開業しました。眞一は立教学校在学中、真面目に勉学に励んだと述懐しています。1999年（平成11年）に立教大学で100年前に埋められたタイムカプセルが開けられ、その中から見つかった眞一の成績表は、ほとんどが満点に近い成績であり、優秀な学生であったことが伺えます。また、開業した金谷ホテルが東照宮の装飾を手掛けた絵師や彫師の流れをくむ造形美を随所に取り入れたのは、ガーディナーの進言によるものと言われています。

金谷ホテルの経営者として

その後、金谷眞一は金谷ホテルの経営が厳しくなる中、ホテルに戻り経営者として金谷ホテルを改革し、名門ホテルとしての礎を築きました。1917年（大正6年）に家督を相続し、正式にホテルの経営を引き継ぎました。ホテルが整備されたことで、日光は外国人向けの観光地、避暑地として発展することに繋がりました。

兄弟との繋がり

眞一の3歳下の弟・正造も立教学校に進学し、のちに箱根の富士屋ホテルに婿入りし山口正造となり、富士屋ホテルの3代目社長となりました。兄弟揃って日本の観光業に貢献したことは特筆に値します。

金谷眞一は、日本のホテル業の発展に大きく貢献した人物として、その功績は語り継がれています。

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