金銀島探検
金銀島探検について
金銀島探検とは、金や銀が豊富に存在するとされる伝説の「金島」や「銀島」を求めて行われた航海や探検を指します。この探検は主に近世以前のヨーロッパ人によって行われ、アジアとの交流が深まる中で多くの人がこの神秘的な島々を求めました。
伝説の始まりは古代インドに遡るとも言われており、1世紀のローマ帝国の地理書には、インダス川の東方に金島と銀島があると記されています。金島は「ジャバ・デビバ」との名でも呼ばれ、これは現在のジャワ島やスマトラ島を指すと考えられています。こうした考えが中国に伝わった結果、当時スマトラ島を支配していた貿易国家・シュリーヴィジャヤが、その金銀島と見なされました。義浄がその国を「金洲」と表現したのも、これに影響されてのことです。
しかし、シュリーヴィジャヤとの交流が進むにつれ、その地域の地勢や鉱産資源が明らかになると、徐々にシュリーヴィジャヤを金銀島とみなす見方は薄れました。代わりに、9世紀アラビアの地理書には金島・ワクワクという新たな存在が記されています。この金島は、マルコ・ポーロの『東方見聞録』が出版されることによって、倭国すなわち日本のことだと考えられるようになりました。実際、マルコ・ポーロは日本についての情報をどれだけ正確に把握していたのか疑問視されています。
16世紀に入り、ポルトガル人が日本を訪れると、実際には金の産出量が期待ほどではないことが判明しました。このことから、日本は豊富な銀鉱山を有する「銀島」として認識されるようになり、さらに別の「金島」が太平洋上に存在するという新たな説が現れるようになりました。また、日本が鎖国し貿易が困難になると、他の「銀島」を探す動きが活発になりました。
1612年にはスペインのセバスティアン・ビスカイノが、1639年にはオランダのマティス・クアストとアベル・タスマン、1643年にはオランダのマルチン・ゲルリッツエン・フリースとヘンドリック・スハープ、さらに1787年にはフランスのラ・ペルーズ伯、1803年にはロシアのクルーゼンシュテルンが太平洋航海を行った中で、金銀島を求めて探索を続けました。しかし、19世紀初頭に入ると太平洋の地理状況が明らかになり、これらの伝説は単なる神話として扱われるようになっていきました。
関連項目
関連書籍
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。