針尾島

針尾島の概要

針尾島（はりおじま）は、長崎県の佐世保市南西部に位置する島で、大村湾と佐世保湾の間に浮かんでいます。西海市との境界には針尾瀬戸があり、流れるような美しい海岸線が特徴です。また、この地域では温州みかんの栽培が盛んで、おいしい果物が豊富に収穫されています。

特に注目すべきは、針尾城（小鯛城）の発掘調査により、16世紀に作られた景徳鎮窯の六角脚付瓶が発見されたことです。これはトルコ、イタリアに次ぐ世界で3例目の出土例とされ、歴史的な価値が高い発見です。本稿では、この針尾島を含む佐世保市の地域、特に江上（えがみ）地区やその周辺について詳しく紹介します。

地形と地質

針尾島は流紋岩質の溶岩台地で構成されており、深い入江や急峻な半島が複雑な海岸線を形成しています。特に安久ノ浦、牛ノ浦などの入江があり、中央部に食い込んでいる江上浦と恵比寿湾は、北東部の江上地区と南西部の針尾地区を分ける自然の境界となっています。

針尾島の東側は早岐瀬戸に面しており、ここでは土砂の堆積によって平地が広がっています。江戸時代以降の干拓によって、早岐瀬戸沿岸と江上浦は大規模な農地として開発されました。なお、溶岩台地は侵食が進んでおり、稲作には適さない土壌が形成されましたが、そこに果樹を栽培するには適した水はけの良い環境が整っています。加えて、島内には低質黒曜石の塊が多く存在し、旧[[石器時代]]や縄文時代には石器の材料として利用されていました。

地域の特色

針尾島には、江上地区と針尾地区の2つの地域があり、各地区の町名は1958年に設置されました。

江上地区

• - 有福町（ありふくちょう）：江上地区の北半分に位置し、米軍の針尾弾薬庫が存在する安久ノ浦沿岸部を含みます。国道205号が通ります。
• - 江上町（えがみちょう）：南北に細長く、果樹園が広がっている地域です。北部には丘陵地があり、交通量が多いです。
• - 指方町（さしかたちょう）：江上町の中心地で、多くの公共施設が集中しています。ここも水田が広がり、米の生産が行われています。
• - ハウステンボス町：ハウステンボスが位置する地域で、観光名所となっています。

針尾地区

• - 針尾北町（はりおきたまち）：主に丘陵地で、浦頭港に近い場所にあります。
• - 針尾中町（はりおなかまち）：中部に位置し、行政施設や学校が集まっています。
• - 針尾西町（はりおにしまち）：海に面する地域で、丘陵が迫っています。
• - 針尾東町（はりおひがしまち）：江上浦沿岸に位置し、集落が点在しています。

歴史

針尾島の歴史は先史時代から始まり、縄文時代から人々が住んでいたことが知られています。また、中世には各地に経塚や土豪が存在し、戦国時代には武士団が形成されました。近世に入ると干拓事業が進められ、米の生産が盛んになりました。海上交通も発展し、島と対岸の交流が深まりました。

20世紀の初めには、針尾出身の儒学者が教育機関を設立し、教育の普及が進みました。戦争の影響で軍事施設が設置され、地域の生活には影響を及ぼしましたが、戦後は引き揚げ事業が行われ、浦頭港が上陸港の役割を担いました。

今日、針尾島は観光地や農業地域として、新たな発展を続けており、地域の歴史や自然を大切にしています。特にハウステンボスは多くの観光客を引き寄せ、地域の経済に寄与しています。針尾島の魅力は、歴史、自然、そして豊かな文化が織りなす素晴らしいものです。

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