釣込腰

釣込腰（つりこみごし）

釣込腰は、柔道の投技における腰技の一種であり、講道館や国際[[柔道連盟]]（IJF）で正式に認められている技です。IJFでの略号はTKGで表されます。

概要

釣込腰は、まず前回りさばきで腰を低く入れ、相手をすくい上げるような腰の動きを加えます。この時、単に腰に乗せるのではなく、腰の回転を利用するのが特徴です。そして、引き手と釣り手を効果的に使い、相手を前下（または横）方向に投げます。

背負投と動作が似ていますが、両者には明確な違いがあります。背負投では、引き手を主に使い、相手を前に投げるのに対し（釣り手で襟を釣り上げ、引き手で袖を引く）、釣込腰では釣り手を主体に使い、相手を横に投げるのです（引き手で万歳をさせるように袖を引き出し、釣り手で襟を釣り上げる）。

釣込腰の成立には、興味深い歴史的経緯があります。元々、浮腰を得意としていた嘉納治五郎に対し、西郷四郎が前に跳んで防御する技術を開発しました。これに対し、嘉納は払腰を編み出しますが、西郷は体を反らせて再び防御。この防御に対応するため、嘉納が新たに開発したのが釣込腰であると伝えられています。

釣込腰は、袖釣込腰、払釣込足、支釣込足といった他の「釣り込み」技法と共通の性質を持つ技と言えます。

片襟の釣込腰も存在しますが、通常の掛け方よりも肩への負担が大きくなる傾向があります。そのため、釣り手の腋をしっかりと締めて吊り上げることが重要になります。

1926年に出版された柔道の技術書『新式柔道』において、金光弥一兵衛は釣込腰について、「理論的には成立するものの、実際には行い難い」として、掲載を省略しました。その代わりに、両袖を持った袖釣込腰を「釣込腰」の名で紹介しています。しかし、1982年に講道館柔道の技名称が制定された際には、釣込腰は正式な技として含まれることとなりました。

分類と名称の変遷

1972年に講道館が技名称を制定した際、袖釣込腰は釣込腰の一種として扱われていました。しかし、1995年9月にIJFが技名称を決定した際、袖釣込腰は釣込腰とは別の独立した技として定義されました。この決定を受け、1997年4月1日には、講道館もIJFの方式に合わせ、袖釣込腰を釣込腰から独立させました。柔道家の川石酒造之助の書籍では、両袖を持った袖釣込腰を釣込腰として扱っています。

釣込腰は、その独特な掛け方と歴史的背景を持つ、奥深い技であると言えるでしょう。

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