鈴木バイオリン製造

鈴木バイオリン製造株式会社

鈴木バイオリン製造株式会社は、愛知県大府市に本社を置く、バイオリンなどの弦楽器を製造する会社です。1887年の創業以来、130年以上にわたり、日本の弦楽器製造を牽引してきました。

歴史

創業者の鈴木政吉は、もともと三味線職人でしたが、初めて目にしたバイオリンに魅せられ、独学で製作を始めました。1888年に最初のバイオリンを完成させ、1890年には工場を建設し、本格的な生産を開始しました。1930年に株式会社に改組し、現在の社名となりました。

その後、1935年には大府分工場（現在の本社所在地）を新設し、1936年には岐阜県恵那市に本社を移転。1946年には本社を名古屋市中川区に移転しました。この時、恵那工場は分工場となり、1954年に有限会社恵那楽器（現在の恵那楽器株式会社）として独立しました。そして2021年、かつて分工場があった縁の地である愛知県大府市に本社を再び移転させました。現在の大府本社には、本社工房に加え、スズキ・メソードのバイオリン教室も併設されています。

2023年5月には、ジブリパークの関連周遊施設として本社工房が選定され、工房見学や製作体験プログラムが実施されています。これにより、より多くの人が鈴木バイオリンの歴史と技術に触れることができるようになりました。

製品と特徴

鈴木バイオリン製造のバイオリンは、教育用の1本6万円から、上級者用の150万円まで、幅広い価格帯で展開されています。国内シェアは40%に達し、年間約2000本を製造しています。その品質の高さと信頼性から、教育機関や音楽愛好家から広く支持されています。

創業者の鈴木政吉の三男は、幼児・子供の音楽教育法で有名なスズキ・メソードの創設者である鈴木鎮一です。このことからも、鈴木バイオリン製造が音楽教育に深く関わっていることがわかります。

経営再建と現在

令和に入り、長年の経営不振の責任から創業者一族が経営から退きました。その後、管財人の弁護士から選出された小野田祐真氏が2019年に代表取締役社長に就任し、経営再建を託されました。その結果、現在では国内トップシェアを維持するだけでなく、海外輸出も復活させ、教育楽器の定番ブランドとしての地位を再び確立しています。

関連会社とブランド

鈴木バイオリン製造に関連する企業として、恵那楽器株式会社と杉藤楽弓社があります。恵那楽器は、鈴木バイオリンの量産楽器の一部を製作していた企業です。また、かつて存在した鈴木バイオリン産業株式会社は、鈴木バイオリン製造と区別するために「木曽鈴木」と呼ばれることもありました。

恵那バイオリン

恵那楽器が開発した独自ブランド「Ena Violin」は、鈴木バイオリンの量産楽器の一部を製作していました。しかし、2020年に廃盤となっています。

有限会社鈴木バイオリン社

鈴木政吉の子である鈴木喜久雄が社長を務めていた鈴木バイオリン産業株式会社は、戦時中にグライダー部品を製造していた時期もありましたが、戦後、楽器製造に復帰し、ウクレレ、バイオリン、ギターを生産しました。しかし、1950年に倒産。その後、有志により1951年に有限会社鈴木バイオリン社として再発足しました。同社は低価格のバイオリンや分数楽器を製造し、「ベルウッド」というブランドでエレクトリックギターやベースも製造していました。一時は全国生産額の約4割を占めるほどの生産量を誇っていましたが、1985年に倒産しました。その後、材料や機械は音楽企業のESPに売却されました。

主な製品

バイオリン
ギター

関連情報

日本のヴァイオリン王〜名古屋が生んだ世界のマエストロ 鈴木政吉物語〜（東海テレビ制作のスペシャルドラマ）
公式ウェブサイト
国産ギター研究所 - ウェイバックマシン（2019年1月1日アーカイブ分）
１２０年前に「鈴木バイオリン製造」が造ったバイオリンの音色 - YouTube
* 鈴木バイオリンができるまで - YouTube


鈴木バイオリン製造は、創業以来の伝統と技術を守りながら、現代のニーズに応える製品を提供し続けています。その歴史と品質は、日本の音楽文化を支える上で欠かせない存在です。

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