鈴木一誌

鈴木 一誌（すずき ひとし）について

鈴木一誌（すずき ひとし）は、日本を代表するグラフィックデザイナーであり、映画批評家としても知られる存在でした。1950年4月8日に生まれ、2023年8月19日に誤嚥性肺炎により73歳でこの世を去りました。彼の多彩な業績は、デザイン界や映画批評の分野で高く評価されています。

経歴

鈴木は東京造形大学に入学しましたが、途中で中退。その後、杉浦康平事務所に12年間在籍し、デザインの基盤を築きました。1985年には独立し、以降は自らの活動を展開しました。1981年には第1回ダゲレオ出版評論賞を受賞、その後も数々の賞に輝くなど、彼の存在は業界内で非常に重要なものとなりました。

特に、1998年には第29回講談社出版文化賞ブックデザイン賞を受賞するなど、彼のデザインへの情熱と技術は多くの人に影響を与えました。また、1995年から1999年の間には、『知恵蔵』のフォーマットを巡る著作権訴訟が朝日新聞社との間で行われ、その裁判記録は2001年に『知恵蔵裁判全記録』としてまとめられました。

2001年からは、戸田ツトムと共に雑誌『d/SIGN』の責任編集を務め、デザインに関する様々な情報発信を行い続けました。2011年には土本典昭との共著『全貌フレデリック・ワイズマン アメリカ合衆国を記録する』を刊行し、ドキュメンタリー映画の重要性を説く作品を発表します。

鈴木は、また、多くの著書のデザインを手がけており、『大辞泉』や『昭和二万日の全記録』、『鈴木清順全映画』、『日本映画作品大事典』など、さまざまな分野でその才能を発揮してきました。

著書

鈴木は、単著や共編著を含む多くの著作を残しています。彼の単著には、2002年に発表された『ページと力 手わざ、そしてデジタル・デザイン』や『画面の誕生』、2007年の『重力のデザイン 本から写真へ』、そして2017年に刊行された『ブックデザイナー 鈴木一誌の生活と意見』が含まれます。

また、彼は共編著でも多くの業績があります。『想像力博物館』（1993年、荒俣宏・春井裕と共著）や『知恵蔵裁判全記録』（2001年、知恵蔵裁判を読む会と共編著）、『映画の呼吸 澤井信一郎の監督作法』（2006年、澤井信一郎と共著）、そして『小川プロダクション『三里塚の夏』を観る 映画から読み解く成田闘争』（2012年、編著、DVD付）などが挙げられます。

まとめ

鈴木一誌は、その卓越したデザインセンスと映画への深い理解を持った人物でした。彼が遺した作品や思想は、今後のデザイナーや映画批評家たちにとっても大きな指針となることでしょう。彼の死は、80年代から90年代、さらには新世代のデザイン界への影響を与えてきた偉大な才能の喪失を意味します。鈴木の名は、今後も多くの人々に語り継がれるに違いありません。

もう一度検索