鈴木稔

鈴木稔の陶芸と地域貢献

鈴木稔(すずき みのる)は1962年に埼玉県に生まれ、栃木県の益子町を拠点に活躍する陶芸家である。彼は独自の作陶手法である「割型」を用いて、器を生み出している。さらに地域振興活動にも取り組み、文化とアートの発展に寄与している。

陶芸との出会い

鈴木は早稲田大学教育学部に入学後、陶芸に出会った。初めは轆轤の魅力に取りつかれ、大学の美術研究会で胸躍る陶芸の世界に足を踏み入れる。柳宗悦の「民藝論」に影響を受け、故・加守田章二の作品に心打たれ、陶芸を生涯の仕事にしたいと考えるようになった。その後、全国の窯元を巡り、益子町での作陶活動を始める。

益子の土に魅了される

益子での生活の中で、鈴木は魅力的な益子焼に魅了され、陶芸の仲間たちと共に活気に満ちた日々を過ごす。バブル経済の盛況も相まって、益子陶器市での成功が彼のモチベーションを高めた。しかし、将来的な限界を感じ、1991年に陶芸家・高内秀剛の弟子として本格的な修業をスタートする。この修行期間で彼は自己を見つめ直し、陶芸の真髄を学んだ。

割型との出会いと独立

1996年、鈴木は独立し、作陶活動を本格化させる。2006年には登り窯を築き、自らの作陶スタイルを確立していく。ある時、料理屋で出会った「割型」で作られた器に衝撃を受け、その魅力に引き込まれる。「割型」とは、石膏で成形された型を使用している手法であり、鈴木は試行錯誤の中からこの技法をマスターしていく。彼はようやく自分に合ったスタイルを見出し、それによって独自の美的感覚を表現することができるようになった。

地域貢献とコミュニティの形成

鈴木は益子町のアートイベント「土祭」に参加し、2016年からは地域コミュニティーグループ「ヒジノワ」の代表として活動を行っている。また、2011年の東日本大震災後には「MCAA」を設立し、陶芸家たちのネットワークを作り、災害支援に尽力した。彼は地域の陶芸家の代表として、復興に向けた活動を行い、益子町の陶芸文化を次の世代へと繋げる努力をしている。

現在と未来

鈴木稔は、陶芸の技術を研鑽し続ける一方、地域文化の振興のために全力を尽くしている。自らの作品が益子焼として評価されることで、土と火の魅力を伝え、新たな取り組みやイベントを通じて益子町の文化を発展させ続けている。彼の活動は、陶芸家という枠を越え、地域社会全体に影響を与える存在として今後も注目されるだろう。

もう一度検索