鈴木義信

鈴木 義信

人物概要

鈴木 義信氏は、1943年11月2日生まれの日本の元野球選手（外野手）、野球指導者、そして実業家です。特に野球界では、社会人野球の名門である東芝の監督としてチームを都市対抗野球大会優勝に導き、また、1988年に野球が公開競技として実施されたソウルオリンピックでは日本代表チームの監督を務め、銀メダル獲得という輝かしい成績を収めました。実業家としては、東芝グループの主要企業である東芝メディカルシステムズ（現・キヤノンメディカルシステムズ）の社長を歴任しています。引退後も野球界に貢献しており、日本野球連盟の副会長などの要職を務めています。

経歴

高校時代

千葉県立長生第一高等学校に進学し、野球部では主に右翼手、そしてトップバッターとしてチームを牽引しました。2年生だった1960年には、春季関東大会の決勝に進出。決勝戦で群馬県の強豪である桐生高校を破り、見事優勝を果たしました。しかし、同年の夏の東関東大会千葉県予選では準決勝で、後にプロ野球でも活躍する関根知雄投手を擁する銚子商業高校に惜しくも敗れています。翌1961年の夏の県予選では、3回戦で本塁打を放つ活躍を見せましたが、市原高校に敗退。残念ながら、高校生活を通じて甲子園球場への出場は叶いませんでした。高校時代のチームメイトには、1年先輩の外野手である宮原秀明氏がいました。

大学時代

1962年に慶應義塾大学法学部に入学。大学野球部では外野手としてプレーしました。当時の慶應義塾大学野球部には、1年先輩に渡辺泰輔投手、佐藤元彦投手といったプロでも活躍する好投手がおり、強力なチームを形成していました。鈴木氏もその一員として、東京六大学野球リーグにおいて三度の優勝を経験するなど、選手として輝かしい成績を残しました。大学の同期には、のちにプロ野球で長距離打者として名を馳せる一塁手の広野功氏がいました。

社会人野球選手・監督時代

大学卒業後の1966年、東京芝浦電気株式会社（現・東芝）に入社し、同社の野球部に入団。1969年まで現役選手としてプレーを続けました。選手引退後、1972年からは東芝野球部の監督に就任します。指導者としてチームを強化し、就任から6年後の1978年には、野球界最大の大会である都市対抗野球大会において、チームを創部以来初の優勝へと導くという偉業を達成しました。監督としては、チームを6年連続で都市対抗野球大会に出場させるなど、安定した強豪チームを作り上げました。1982年をもって、東芝野球部監督を勇退しました。

日本代表指導者として

東芝野球部監督を務める傍ら、アマチュア野球の日本代表チームの指導にも携わりました。1979年からは日本代表のコーチを務め、1984年に開催されたロサンゼルスオリンピックにおける野球競技（公開競技）では、金メダル獲得に貢献しました。1985年からは日本代表チームの監督に昇格。チームの指揮を執り、1988年に開催されたソウルオリンピックの野球競技（公開競技）では、日本代表チームを決勝まで導き、銀メダルを獲得しました。このソウルオリンピックを最後に、代表監督としての活動に一区切りをつけました。

野球界への貢献と実業家としてのキャリア

監督業を退いた後も、日本の野球界、特にアマチュア野球の発展に尽力しました。1991年には日本野球連盟の理事に就任し、2004年からは副会長という重責を担っています。さらに、全日本アマチュア野球連盟においても、2005年から専務理事を務めるなど、野球界全体の運営・発展に重要な役割を果たしています。

また、東芝の社員としても実績を重ねました。1986年には総合営業部長に昇進し、東関東支社長などを経て、2000年には東芝グループの主要なヘルスケア事業会社である東芝メディカルシステムズ株式会社の代表取締役社長に就任しました。その後、代表権のない取締役を経て、2007年に東芝グループを退任しています。野球界での輝かしい功績に加え、実業界でもトップマネジメントとして手腕を発揮した人物として多方面で活躍した人物です。

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