鉄礬柘榴石

鉄礬柘榴石 (アルマンディン)

鉄礬柘榴石（てつばんざくろいし）は、ネソケイ酸塩に分類される柘榴石群の一種で、一般にはアルマンディンとして知られています。この名前はトルコのアラバンダ地方に由来しています。

組成と特性

鉄礬柘榴石の化学式は Fe₃Al₂(SiO₄)₃ で表され、苦礬柘榴石成分と固溶体を形成することが多いです。色は赤色から暗赤色まで変化し、通常は十二面体または偏菱二十四面体の自形結晶が生成されることが多いです。中には直径が10センチメートルを超える大きな結晶が見つかることもあります。

この鉱物は、柘榴石群の中でも特に一般的に見られる存在です。その屈折率はおおよそ1.83であり、密度も苦礬柘榴石よりやや高めです。

生成環境

鉄礬柘榴石は、主に玄武岩やその他の苦鉄質岩における高圧変成作用の結果として生成されます。また、変成岩の中では結晶片岩として見つかることもあります。このような岩石中に見られる場合、変成度の指標としての役割を果たし、苦礬柘榴石よりも低圧条件で形成されたことを示す指標とされています。

用途と価値

美しい鉄礬柘榴石は宝石としても利用されてきましたが、一般的なものは主に研磨剤に使用されてきました。しかし、現在では合成研磨剤が主流となっています。また、ろうそくの炎にかざすとその深い赤色が際立ち、かつては貴重な宝石として重宝されていました。ただし、蛍光灯の下ではその色合いが黒ずんで見えるため、現在では以前ほど宝石として評価されなくなっています。

産地

鉄礬柘榴石は広く分布しており、東アフリカやアメリカ合衆国のアラスカ、さらにはオーストリアの結晶片岩の中にも見られます。日本国内では、茨城県真壁郡真壁町（現在の桜川市）にある山ノ尾のペグマタイト中で（現在は採集が禁止されています）、また愛媛県四国中央市土居町の柘榴石角閃岩の中でも産出が報告されています。

まとめ

鉄礬柘榴石は多彩な色彩、美しさに加えて、多様な用途を持つ鉱物であり、地球の地質活動によって生まれた自然の産物です。その歴史や用途、さらには美しさは、鉱物学や宝石学において重要な位置を占めています。

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