鉄鉉

鉄鉉（てつ げん）

鉄鉉（1366年 - 1402年）は、明代初期に活躍した官僚であり、将軍でもありました。字は鼎石といい、鄧州穣県出身の色目人です。

生涯

鉄鉉は、鉄仲名と薛氏の子として生まれました。洪武帝の時代に国子生から礼科給事中に任じられ、その後、都督府断事として司法官を務め、洪武帝の信任を得ました。

1399年（建文元年）に靖難の変が勃発すると、鉄鉉は建文帝を支持し、北伐軍を率いる李景隆の兵站を山東参政として担当し、その補給を滞りなく行いました。1400年（建文2年）4月、李景隆が白溝河の戦いで燕軍に敗北すると、鉄鉉は臨邑から済南に移り、盛庸や宋参軍らと共に燕軍に対抗しました。5月、燕軍に済南城を包囲されると、水攻めにあい苦戦を強いられます。しかし、鉄鉉は城兵を偽って降伏させ、燕王朱棣を城門近くに誘い込み、城壁から鉄板を落としたり、橋を火薬で爆破するなどして暗殺を試みましたが、失敗に終わりました。この鉄鉉の行動に激怒した朱棣は、3ヶ月にわたり済南城を攻撃しましたが、ついに攻略することができず、8月に包囲を解いて撤退しました。この済南城防衛の功績により、鉄鉉は山東布政使に抜擢され、12月には兵部尚書に進みました。

1402年（建文4年）3月、大店で燕将の譚清を包囲しましたが、燕王朱棣自らの援軍を受け敗北しました。8月、鉄鉉は捕らえられ、永楽帝（朱棣）との面会を余儀なくされました。しかし、鉄鉉は永楽帝を罵倒し続け、決して屈することはありませんでした。その結果、市中で磔刑に処され、37歳という若さでその生涯を閉じました。永楽帝は鉄鉉の遺体を熱した油で煮るという残虐な行為に及びました。

鉄鉉の息子である鉄福安は河池で兵役につかされ、両親は海南島へ流刑となりました。また、妻の楊氏と娘たちは教坊司に預けられましたが、楊氏は病死、娘たちは辱めを受けることなく、後に士人に嫁ぎました。

鉄鉉の忠義は後世に語り継がれ、彼の抵抗精神は多くの人々に感銘を与えました。

脚注

参考文献

『明史』巻142 列伝第30
『明通鑑』
* 『明史紀事本末』

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