盛庸

盛庸（せい よう、生没年不詳）は、明朝初期の将軍です。

生涯

1399年（建文元年）、燕王朱棣（後の永楽帝）が起こした靖難の変において、盛庸は建文帝側の将軍として活躍しました。当初は耿炳文の指揮下に入り、朱棣の軍と交戦。耿炳文が更迭された後は、李景隆が白溝河の戦いで敗北して逃亡したため、山東参政であった鉄鉉の指揮下に入り、陳暉らと共に済南城の防衛に尽力しました。彼は夜襲を仕掛けて燕軍を打ち破るなどの戦果を挙げ、済南城を3ヶ月以上にわたり守り抜きました。朱棣が軍を撤退させる際には、鉄鉉の指揮下で追撃軍の一人として徳州奪回に参戦し、その功績により鉄鉉が兵部尚書に昇進すると、盛庸は歴城候に封じられ、千石の禄を授かりました。その後、文官である鉄鉉に代わり、盛庸は総兵官・平燕将軍として、南京政府軍の実務部隊の責任者となりました。

盛庸は平安と呉傑を定州に、徐凱を滄州に配し、自身は徳州で全軍の作戦を指揮しました。しかし、1400年（建文2年）10月、朱棣が滄州を強襲したことにより、滄州は再び奪取されてしまいます。同年12月には、朱棣が再び軍を北上させたのに対抗し、盛庸も主力を北上させ、徳州の南の東昌で両軍は交戦しました。この東昌の会戦では、盛庸が砲撃を加えたことが『明史』成祖本紀にも記録されています。盛庸は軍の一部を故意に後退させることで朱棣を誘い込み、一時的にその直属軍を完全包囲しました。しかし、燕軍の朱能がモンゴル騎兵を率いて外部から突入、張玉も部下を率いて抗戦したため、朱棣は辛くも逃れることができました。しかし、この戦いで張玉を戦死させ、朱棣は挙兵以来初めての敗北を喫し、百騎に守られて館陶へと逃げ延びました。朱棣が軍を撤退させる際には、一万を超える燕軍の死体が残っていたと記録されています。

1401年（建文3年）正月、呉傑と平安が深州で燕軍と戦った際には、盛庸が援軍を指揮して朱棣の進攻を打ち破りました。さらに3月には、滹沱河で再び燕軍と戦いましたが、初日は引き分けに終わりました。しかし、翌日には悪天候を味方につけた燕軍が優勢となり、盛庸は敗北して南下。滹沱河の戦いに間に合わなかった呉傑と平安も軍を撤退させました。閏3月には、藁城付近で燕軍と南京政府軍が再度交戦し、この戦いでは燕軍が勝利し、南京政府軍は6万の兵を失いました。4月には、燕軍が大名に進出し、朱棣は休戦条件として盛庸・呉傑・平安らの召還を建文帝に要求しましたが、南京政府は逆に燕軍の解散を要求し、交渉は決裂、その後も交戦が続きました。

1402年（建文4年）正月、燕軍が南京総攻撃を目的として南下を開始しました。この時、南京政府軍の司令官は徐福、実戦指揮官は平安となっており、盛庸の名は平安と同列に記されています。霊璧の戦いで南京政府軍が敗北した際、盛庸は平安と共に燕軍に捕らえられますが、同年6月には再び南京政府軍の部隊を指揮しています。なぜ解放されたのかなどの事情は『明史』にも記されていません。6月に燕軍が長江に姿を見せた際には、盛庸は長江の線を守る策を二案立てますが、いずれも後手に回ってしまいます。それでも盛庸は兵を集め、水軍を率いて高資港にて迎撃し、一時的には燕軍の進攻を遅らせましたが、最終的には燕軍は渡河を成功させ、鎮江に上陸、そのまま南京を陥落させました。その後、盛庸は朱棣に兵士と共に降伏しました。一度は朱棣に赦免されましたが、同年に致仕し、後に王欽や陳瑛に弾劾されて自殺しました。

参考文献

『明史』巻144 列伝第32
寺田隆信『中国人物叢書 永楽帝』（人物往来社　宮崎市定監修）

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