鉗子

鉗子の概要

鉗子（かんし）、英語ではフォーセップ（forceps）またはシザープライヤ（Scissor Plier）は、物をしっかり掴むために使用される器具です。主に医療の現場で、手術用器具として広く使用されており、組織を掴んだり、押さえたり、牽引したりする際に活用されます。鋏のような形状をしており、しっかりとした握りを提供して、精密な作業をサポートします。

鉗子の名称

鉗子は主に金属またはプラスチック製であり、鋏（はさみ）と同じ構造を持っています。基本的に一丁の鉗子は、フォーセップまたはプライヤと呼ばれます。これらの名称は、それぞれの使用方法や形状に基づいています。

鉗子の種類

鉗子には主に2つの種類があります。1つは有鉤鉗子で、このタイプは把握面に鉤がついており、硬い組織（皮膚や筋層など）を掴むのに適しています。もう1つは無鉤鉗子で、こちらは鉤が付いていないため、軟らかい組織（粘膜、血管、リンパ節など）を掴んだり、剥離するために使用されます。

代表的な鉗子の種類

ケリー鉗子

ケリー鉗子は、血管のつかみや止血に特化した鉗子で、先端が少し曲がっています。曲がり具合によって「強彎」と「弱彎」に区別され、さらに長さに応じて「大人用」や「小児用」が存在します。小児用は大人の手術でもなかなか頻繁に使われる便利な器具です。

コッヘル鉗子

コッヘル鉗子は、組織の止血や縫合糸を保持する際に使われる鉗子で、一般的には先端に鉤を持つタイプが主流です。

ブルドッグ鉗子

この鉗子は、血管を挟んで血流を一時的に止めるために用いられます。

ペアン鉗子

コッヘル鉗子と似ているが、一般的に先端には鉤がないため、使用用途が異なります。

モスキート鉗子

この鉗子は約12センチメートルと短く、特に細かい作業が要求される際に利用されます。

アリス鉗子

粘膜を把持するために特化した鉗子で、医療現場での使用が見られます。

マギール鉗子

口腔内の異物を除去するために設計された鉗子です。

産科鉗子

このタイプは胎児娩出の補助に使用される鉗子で、特別な設計がされており、母体や胎児の安全を考慮しています。

遮断鉗子

特に遮断（クランプ）に特化した鉗子で、精密な手術において重要な役割を果たします。

腸鉗子

腸を掴むために設計された専用鉗子です。

腎臓鉗子

腎臓の固定や操作に必要な鉗子です。

耳垢鉗子

耳垢をつかむために使用され、特に特定の医師によって開発されたモデルが知られています。

去勢鉗子

主に獣医師が使用する、去勢手術に利用される鉗子です。また、人間にも使用される場合があります。

ミクリッツ腹膜鉗子

腹膜を把持するために特化した鉗子で、手術における腹部の操作で使用されます。

参考文献

この情報は「OPENURSING2017 手術室の器械器具201 p16-17」に基づいています。

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