鉢田の戦い

鉢田の戦い

鉢田の戦い（はちたのたたかい）は、平安時代末期の治承・寿永の乱において、甲斐源氏の武田信義と駿河国目代の橘遠茂・長田入道の間で繰り広げられた戦いです。

戦いの背景

治承4年（1180年）8月、石橋山の戦いの直後、甲斐源氏は波志田山合戦で駿河勢を破り、甲斐一国を制圧しました。その後、武田信義らは信濃へ侵攻し、平家方の豪族を打ち破ります。甲斐へ帰還後、北条時政・義時父子や土屋宗遠らと合流し、軍議を開いて駿河への侵攻を決定しました。

一方、石橋山の戦いで敗れた源頼朝が坂東で勢力を拡大していることを知った平家は、平維盛を総大将とする追討使を派遣します。また、駿河国目代の橘遠茂は、甲斐源氏が軍備を整えているという噂を聞き、駿河・遠江から兵を集めます。

戦いの経過

10月13日、武田信義、一条忠頼、安田義定らの甲斐源氏は、石橋山の戦いで敗れた源頼朝配下の武将たちを加え、富士北麓の若彦路へ向かいました。同日、橘遠茂と長田入道は、甲斐勢を討つべく富士野を回って甲斐国に攻め込もうとします。

翌14日、駿河勢が鉢田に進軍したところ、甲斐勢と遭遇し戦闘が開始されました。山岳地帯での戦闘は甲斐勢が優勢となり、長田入道の子息2人が討ち取られ、橘遠茂は捕虜となりました。

戦いの影響

この戦いで平家方の橘遠茂・長田入道が敗北した結果、駿河は甲斐源氏の手に落ちました。この勝利は、10月20日の富士川の戦いにおける平家敗北の要因の一つにもなりました。

補足

なお、9月に波志田山合戦が行われた波志田山と、鉢田の戦いの舞台となった鉢田山の位置は同一とする説もありますが、現在も特定されていません。

この鉢田の戦いは、源氏が勢力を拡大していく上で重要な転換点となりました。甲斐源氏の武勇が示されたこの戦いは、後の戦国時代の武田氏にも影響を与えたと考えられています。

もう一度検索