銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝

銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝

『銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝』は、武論尊・原哲夫（原案）、ながてゆか（作画）による漫画作品。『北斗の拳』に登場する人気キャラクター、トキを主人公とした外伝作品です。

概要

本作は、『北斗の拳』の外伝シリーズ第三弾として『週刊コミックバンチ』で連載されました。第一弾『天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』、第二弾『蒼黒の餓狼 -北斗の拳 レイ外伝-』に続く作品であり、トキの知られざる過去にスポットを当てています。

前作のラオウ編やレイ編とは異なり、本作ではトキの代名詞とも言える「柔の拳」と、彼が深く関わる「奇跡の村」が舞台となっています。ラオウ編やレイ編では、本編に登場するキャラクターとの繋がりが深く描かれていましたが、本作ではアミバを除き、トキと直接的な関わりのないキャラクターが登場することが多く、異色作としての側面も持っています。

作中では、北斗神拳の歴史が1800年とされています。これは一般的に知られている2000年という設定とは異なりますが、原作においてケンシロウがアミバとの戦いで語った年数を採用しています。

あらすじ

「北斗神拳史上もっとも華麗な技を使う男」と謳われたトキは、核戦争で死の灰を浴びたことにより、北斗神拳の継承を断念します。失意の中、従者とともにあてのない旅に出たトキは、食料を求めて立ち寄った村で、絶望に染まった人々と出会います。

そこは、病人や老人、子供たちが死を待つだけの村でした。しかし、トキが触れた子供が奇跡的に回復したことをきっかけに、村人たちは希望を取り戻し始めます。トキは人々に笑顔を取り戻すため、長年の夢であった診療所を開設することを決意します。

診療所は「奇跡の村」として活況を呈しますが、夜盗の襲撃によって診療所は破壊され、村人たちは再び絶望に突き落とされます。しかし、トキは最初に救った少年ルカに励まされ、共に乱世に光を灯すことを誓うのでした。

登場人物

トキ
北斗四兄弟の次兄。「柔の拳」の使い手であり、「北斗神拳史上、最も華麗な技を使う男」と称されています。死の灰を浴びたことで病に侵され、継承者の道を諦め、人々を救う旅に出ます。奇跡の村の住人からは「トキ様」と慕われています。物語の最後は、ラオウとの戦いに敗れた後、奇跡の村に帰還するシーンで締めくくられ、原作における彼の死は描かれていません。
ラモ
トキと旅を共にする従者。ラオウ編におけるソウガのような存在であり、リュウケンの遺言によってトキに仕えています。アミバに捕らえられ人体実験に利用されますが、ラストシーンでは意識を取り戻し、トキを迎えます。
ルカ
奇跡の村で最初にトキに救われた少年。原作におけるバットやリン、レイ編におけるユウと同様のポジションです。トキを慕い、彼の身を案じながら、北斗神拳を学ぼうとします。
アミバ
自らを「天才」と称する男。南斗聖拳を学んだ後、北斗神拳をも手に入れようとトキに近づきますが、拒絶されます。その後、トキの患者に誤った秘孔を突いたことでトキに折檻され、復讐心を燃やします。ジャギと手を組み、トキになりすまして悪行を重ねますが、最後はケンシロウに倒されます。
ZEED
村の近辺で略奪を繰り返す野盗集団。初期においてはかなりの勢力を持っており、仲間の仇を討つため奇跡の村を襲撃します。その後、ケンシロウによって壊滅させられます。
ジュウザ
南斗五車星の一人。「雲」の異名を持ち、自由奔放に生きています。食料と女を求めて奇跡の村に現れ、ZEEDとの戦いに加勢します。その後、トキにユリアの死を伝えます。
ジャギ
北斗四兄弟の三兄。ケンシロウを憎み、トキとケンシロウが組むことを阻止するため、アミバと手を組みます。アミバにトキの情報を教えたり、アミバをトキに似せて整形するなど暗躍します。リュウケンから修行をサボっていることを注意された際、「北斗神拳も人殺しの道具」という趣旨の発言をしています。
ラオウ
北斗四兄弟の長兄。トキの実兄であり、物語の終盤でトキと対峙します。トキをカサンドラに幽閉した張本人でもあります。
ケンシロウ
北斗四兄弟の末弟。トキの義弟であり、兄弟のように親しい関係です。トキが死の灰を浴びる直前、トキに命を救われたことを思い出し、外に出ようとするシーンがあります。
ユリア
ケンシロウの婚約者。本作では回想シーンにのみ登場します。
リュウガ
ユリアの兄であり、泰山天狼拳の使い手。ラオウの副官として登場し、カサンドラに幽閉されたトキにユリアが生きていることを伝えます。ラオウとケンシロウのどちらが天に選ばれるか見極めようとしています。
ザク
拳王軍の兵士。リュウガからケンシロウとトキを合流させないよう命じられます。
レイ
南斗水鳥拳の伝承者であり、南斗六星拳「義星」の宿星を持つ男。マミヤと共にケンシロウを探し、ルカを保護します。ルカからアミバがトキに成りすましていることを聞き、ケンシロウを助けるため奇跡の村へ向かいます。
マミヤ
ケンシロウに想いを寄せる女性。レイと共にルカを保護します。レイが奇跡の村へ向かう際、彼の頼みでトキがカサンドラにいることを調べ上げます。
バット、リン
ケンシロウを慕う子供たち。レイたちが保護したルカを看護します。
アイリ
レイの妹。ルカにレイがケンシロウの居場所を知っていることを伝えます。

書誌情報

武論尊・原哲夫（原案） / ながてゆか（作画） 『北斗の拳』 新潮社〈BUNCH COMICS〉、全6巻
2007年12月15日初版発行、ISBN 978-4-10-771368-1
2008年3月15日初版発行、ISBN 978-4-10-771383-4
2008年6月15日初版発行、ISBN 978-4-10-771404-6
2008年8月15日初版発行、ISBN 978-4-10-771415-2
2008年11月15日初版発行、ISBN 978-4-10-771432-9
* 2009年1月15日初版発行、ISBN 978-4-10-771451-0

もう一度検索