銀河 (航空機)

銀河（P1Y1）

銀河は大日本帝国海軍が開発した双発爆撃機で、主に太平洋戦争後半においてその性能を発揮しました。元々、大型急降下爆撃機としての役割を想定されていたこの機体は、後に一式[[陸上攻撃機]]の後継機と位置づけられました。連合軍側では「Frances」と名付けられ、当初は戦闘機と誤認されていたことがその名の由来となっています。

開発の背景と命名

1939年頃の日本海軍は、将来の基地航空兵力に大型の急降下爆撃機の配備を考えていました。この必要性は、支那事変の戦訓からのもので、高速性や航続力、大型爆弾を用いた攻撃が求められました。空技廠は、このニーズに応える形で爆撃機の開発を始め、1940年末には「十五試双発陸上爆撃機」として公式に開発が命じられました。

設計主務者は彗星の設計に関わった山名正夫中佐ですが、実質的には三木忠直少佐が指導にあたりました。この機体は、爆撃機としての運用が重視され、急降下爆撃と雷撃の両方に対応できる能力が求められました。

設計の特徴

銀河の設計は、小型で軽量化された機体が特徴です。搭乗員は3名に抑えられ、前方投影面積が小さくなるよう工夫されています。これにより、空気抵抗の軽減が図られました。爆弾倉には大型爆弾や魚雷を搭載することができ、内蔵式の増加燃料タンクも搭載可能です。

主翼は戦闘機並の速力を発揮するために剛性が重視され、翼面積は一式陸攻に比べて約30%小さく設計されています。フラップには新しい機構を採用し、急降下時には効率よく作用するよう配慮されています。

発動機と武装

初期の試作機では小型高出力の誉一一型発動機が用いられ、その後量産機ではこれを改良した誉一二型に変更されました。防御火器は軽量化のため、搭載数は最小限に抑えられていますが、防弾装備は充実しており、乗員の安全にも配慮されています。

実戦における展開

1943年から1944年にかけて、銀河は戦場で重要な役割を果たすことになります。特に台湾沖航空戦では、敵艦に大きな損害を与えるなどの戦果を挙げました。1944年10月には公式に陸上爆撃機として制式採用され、以降も数々の戦闘に参加します。

戦後と残存機

戦後、残された銀河の一機はアメリカ軍によってスミソニアン博物館に保存されており、貴重な歴史的遺産となっています。また、銀河をベースにした派生型もいくつか存在し、特に夜間戦闘機型への改修も行われましたが、戦況の変化により期待されるほどの性能を発揮できませんでした。

総じて、銀河はその複雑な構造から生産性や整備性に課題が残りましたが、約1100機が生産され、戦争の激化に寄与した重要な航空機として歴史に名を刻みました。「国滅びて銀河あり」という表現で揶揄されることもあったこの機体ですが、その存在感は強く、今も多くの人々に記憶されています。

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