錦光山宗兵衛

錦光山宗兵衛

錦光山宗兵衛（きんこうざん そうべい）は、京都で代々続いた京焼、特に粟田口焼の陶工として知られています。三代目の喜兵衛（安兵衛）の時代に「錦光山」と号し、六代目からはこれを姓とするようになりました。彼らは京都の粟田口において窯業を営み、その技術と革新性で名を馳せました。

概要

錦光山の歴史は、江戸時代前期の正保2年（1645年）頃、初代徳右衛門が粟田口で創業したことに始まります。当初、姓は小林と称し、鍵屋という屋号を用いていました。

四代目の喜兵衛と五代目の與兵衛（よへえ）兄弟が相次いで亡くなったため、與兵衛の息子である文三郎は丸屋長兵衛の養子となり、15歳という若さで家督を相続し、六代目錦光山宗兵衛を襲名しました。

幕末の当主であった六代目錦光山宗兵衛は、開国という時代の変化に対応し、海外への輸出に目を向けました。その意思を継いだ七代目錦光山宗兵衛は、明治・大正期の企業家として、「錦光山」の名を冠した数多くの作品を世に送り出しました。

七代目錦光山宗兵衛は、父である六代目の輸出事業への積極的な姿勢を受け継ぎ、若くして家業を継承。京都の製陶業の振興に大きく貢献しました。彼は、薩摩焼に京焼風の絵付けを施した「京薩摩」や、陶器を胎として用いた陶胎七宝などの新しい技法を開発し、「錦光山」ブランドとして欧米をはじめとする世界各国へ輸出しました。

特に、薩摩焼の色絵金襴手（きんらんて）の技法をさらに精緻にし、海外への視察を積極的に行うことで、輸出を成功に導きました。また、陶磁試験所や陶磁器伝習所の設立にも尽力し、多くの若い才能を育成しました。

錦光山系図

初代：鍵屋徳右衛門（1693-1770年、正保の頃、京都粟田に開窯。78歳）
二代：鍵屋茂兵衛（1718-1759年、42歳）
三代：錦光山喜兵衛（安兵衛）（1754-1806年、53歳）
四代：鍵屋喜兵衛（1782-1832年、五代與兵衛の兄。50歳）
五代：錦光山喜兵衛（與兵衛）（1792-1836年、六代宗兵衛の実父。45歳）
六代：錦光山宗兵衛（文三郎）（1823-1884年、丸屋長兵衛が養父。62歳）
七代：錦光山宗兵衛（鉄蔵）（1868-1927年、60歳）

関連項目

京焼
清水焼
五条坂
* 京七宝

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