錦湖アシアナグループ

錦湖アシアナグループ：変遷と不祥事の歴史

錦湖アシアナグループは、韓国の全羅道を拠点とする財閥系企業です。創業から旅客輸送事業を中心に成長し、一時はアシアナ航空やクムホタイヤなどを傘下に抱える韓国有数の大企業でした。しかし、経営破綻と事業再編を経て、現在は高速バス事業を中心とした中堅企業となっています。

グループの歴史

1946年、光州タクシーの設立からグループの歴史は始まりました。朝鮮戦争終結後には、バス事業など旅客輸送業務全般に事業を拡大しました。1960年にはクムホタイヤを設立し、ゴム製造から石油化学産業へと事業領域を広げ、後に錦湖石油化学へと発展します。

1988年には、韓国の民主化宣言を受けてアシアナ航空を設立し、航空輸送事業に参入しました。2006年には大宇建設を買収し、建設事業にも進出しましたが、これが後に経営破綻を招く要因となります。

2009年、大宇建設の売却交渉が決裂し、グループは経営危機に陥りました。12月30日にはワークアウト（事業再生法）を申請し、事実上の経営破綻となりました。クムホタイヤも同様にワークアウトを申請しました。一方、錦湖石油化学とアシアナ航空は、自立協約（会社分割制度）を利用してグループからの独立を目指しました。

2010年、債権団による協議の結果、朴三求名誉会長を中心とした経営再建が図られることになりましたが、その後もグループの経営は安定しませんでした。

2018年7月には、ノーミール事態（後述）や、朴三求会長の娘の不正入社、喜び組研修の映像が報道され、グループの企業統治が大きく問われる事態となりました。

2019年、資金繰りが悪化していたアシアナ航空は、エアプサン、エアソウルとともに売却されることになりました。アシアナ航空はグループの売上高の6割以上を占めており、これはグループ解体につながる動きとして注目されました。12月には、アシアナ航空を含む8社の売却先が現代産業開発（HDC）に決定し、グループから離脱して現代財閥傘下に入ることになりました。

しかし、2020年4月にHDCによるアシアナ航空の買収は事実上無期限延期となり、同年9月には買収案が白紙撤回されました。最終的に、同年11月、アシアナ航空は大韓航空に買収されることが決定しました。

不祥事

喜び組問題

朴三求名誉会長は、社員に「会長をお目にかかる日、しきりに震える心に夜でした。今や会長に感謝の下で言葉の代わりに一輪真っ赤なバラを両手に集め致します。真っ赤なバラだけ会長が大好きです。胸が張り裂けそうな心知っているか... 」などと賛美する歌や踊りを研修させ、身体接触も強制していたことが報道されました。この映像は、北朝鮮の金一族を彷彿とさせるとして、韓国社会で大きな批判を浴びました。

ノーミール事態と子女への優遇不正

錦湖アシアナグループは、機内食を供給していた会社との契約を打ち切り、新たな仕入先に対して「国際線での機内食供給が30分以上遅れた場合、アシアナ航空は食事代全体の50％を支給しなくても良い」という不平等な契約を強要しました。2017年3月に機内食生産工場で火災が発生したことで、契約上の機内食の供給が滞り、その損害賠償を苦に自殺者が出るという悲劇につながりました(ノーミール事態)。

さらに、この騒動の中で、2018年7月には、専業主婦だった名誉会長の娘が、錦湖リゾートの経営管理担当常務として40歳で入社したことが発覚しました。また、名誉会長の息子のパク・セチャンも、2002年の入社時に次長、2006年には取締役に昇進し、その後社長に就任するという異例の昇進を遂げていました。中央日報は、これらの人事について、韓国の上位50大グループではありえない昇進だと指摘しました。

これらの報道を受けて、アシアナ航空の従業員らは、仕入先への不平等契約、グループ会社間の不当支援疑惑、朴三求会長の私益詐取疑惑やパワハラを告発し、経営陣の謝罪と退陣を求めてデモを行いました。

主なグループ関連会社

物流輸送建設分野

錦湖高速
錦湖建設

サービス分野

錦湖アシアナ文化財団
竹湖学院

脚注

外部リンク

錦湖アシアナグループ（朝鮮語）

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