鍋島直之

鍋島直之の生涯とその背景

鍋島直之（なべしま なおゆき）は、江戸時代中期に活躍した外様大名であり、肥前国の蓮池藩の第2代藩主として知られています。彼は高い官位を持ち、従五位下・摂津守にまで昇進しましたが、その領地は5万2600石であり、佐賀藩の一部としての位置づけでした。直之の生涯は、家族関係や藩主としての役割、さらには本家との葛藤に彩られています。

幼少期からの成長

直之は寛永20年（1643年）1月18日、初代藩主である鍋島直澄の次男として江戸麻布邸で誕生しました。幼名は千熊丸で、後に号を了関としました。彼は早くからその才覚を示し、明暦2年（1656年）には4代将軍徳川家綱に初めて謁見し、万治3年（1660年）には本家の藩主である鍋島光茂に忠誠を誓う誓詞を提出しています。この時期、直之の将来における藩主としての立場は確立されつつありました。

藩主としての苦悩

寛文5年（1665年）、父の隠居により家督を相続しましたが、蓮池藩は佐賀藩の一部に過ぎず、直之は本家の家臣と見なされる状況にありました。このため、直之は次第に鍋島本家に対する不満を募らせていきます。本家の権威に対抗するための独立の試みが始まりました。

天和元年（1681年）、直之は本家の許可なく幕府に太刀と馬代を献上し、これが本家の逆鱗に触れてしまいました。鍋島光茂はこの行動を厳しく咎め、直之の意図を抑えるために強硬策を講じました。ましてや、他の支藩主たちとの連携を試み、抗議書を提出するなど、本家の専横に対して声を上げましたが、光茂はこれを一蹴し、専横を続けました。

ともに困難な道のり

この時代、直之は本家との関係改善に苦心しますが、藩主としての立場を守るための努力が実を結ぶことはありませんでした。また、天和3年（1683年）には「三家格式」が発令され、支藩主たちの独立性は否定され、蓮池藩の独自性はますます制約される事態に直面します。

直之の藩としての独立を得るための試みは続きましたが、成功には至らず、最終的には宝永5年（1708年）に高齢のため隠居し、その地位を弟である直称に譲ります。そして享保10年（1725年）4月28日に蓮池で83歳で没しました。葬儀は鍋島家の宗廟である宗眼寺にて行われました。

家族と系譜

直之は鍋島直澄を父に持ち、母は松平忠明の娘であるムリ姫・恵照院です。正室には諫早茂敬の娘を迎え、継室としては鍋島光茂の養女である榊原照清の娘を持っています。息子には鍋島直富があり、直之の後を次ぐ養子として弟の直称がいました。

鍋島直之の生涯は、家族や藩主としての責務、そして本家との葛藤に満ちており、その中で彼は様々な経験を積んでいきました。直之の努力は、後の藩の歴史に少なからぬ影響を与えたといえるでしょう。

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