鍋島茂順

鍋島茂順：激動の時代を生きた武雄領主

鍋島茂順は、江戸時代中期から後期にかけての武士で、肥前国佐賀藩の武雄鍋島家8代当主です。佐賀藩では、鍋島越後という名で知られています。

生涯

宝暦10年（1760年）、26代武雄領主・鍋島茂明の息子として生まれました。10歳で家督を相続し、武雄領主となりました。文化5年（1808年）には、佐賀藩の藩政を担う請役として、藩主・鍋島斉直の側役重用を批判しました。当時、佐賀藩では親類や有力家臣を重視した藩政が行われていましたが、斉直は側役を重用するようになり、茂順はこれに反発したのです。

しかし、藩政が混乱する中、文化5年（1808年）8月15日には、イギリス船フェートン号が長崎港に侵入し、オランダ商館員を拉致するという事件が発生します。佐賀藩は長崎警備の人員が不足していたため、フェートン号の行動を阻止できず、長崎奉行が切腹する事態となりました。この失態により、藩主・斉直は幕府から逼塞を命じられることになります。

フェートン号事件後、佐賀藩の財政はさらに悪化しました。長崎警備費の支出が増大したため、藩の財政は危機的な状況に陥ります。文化11年（1814年）には、大坂の借金が不渡りとなり、請役であった多久茂鄰が罷免され、茂順が再び請役に任命されます。

茂順は、財政担当の白石直章や横岳茂親らと共に、財政改革に取り組みました。機構を分割して経費を独立計上したり、債務整理のための組織を設立したりしましたが、江戸藩邸での費用が膨張し続け、財政改革は失敗に終わります。また、文政5年（1822年）には、茂順の側室である琴の浦の贅沢な暮らしに対する家臣の不満が爆発し、家臣たちが佐賀の武雄鍋島邸に押しかけるという騒動も発生しました。

天保3年（1832年）8月、茂順は嫡男・茂義に武雄領主の地位を譲り、隠居しました。そして、天保6年（1835年）に亡くなりました。

鍋島茂順は、激動の時代の中で、藩主や家臣との対立、財政危機、そして家臣からの諫言など、様々な困難に直面しました。その生涯は、佐賀藩の歴史を語る上で重要な一章となっています。

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