鎌原桐山

鎌原桐山（かんばら とうざん）

鎌原桐山は、安永3年（1774年）に信濃国松代藩（現在の長野県長野市松代町）で生まれ、嘉永5年（1852年）に没した江戸時代後期の武士であり、著名な漢学者です。幼名は重賢、後に藩主真田幸貫より一字を賜り貫忠と改名しました。字は子恕、通称は伯耆または石見と称しました。

生涯

松代藩の重臣であった鎌原重義の三男として生まれた桐山は、19歳で家督を相続し、1000石を給されて家老職に就任しました。彼は、長国寺の住職である千丈実巌に詩文を学び、江戸では佐藤一斎に漢学を師事しました。文才に長けていただけでなく、武芸にも秀でており、射術、馭術、槍術、剣術、兵学、拳法、銃法、小笠原流礼法、故実、点茶など、多岐にわたる分野の知識と技能を身につけていました。

桐山は、私塾「朝陽館」を開き、多くの門弟を育成しました。文化10年（1813年）には、藩儒の林単山が藩の学政責任者に任命されると、塾生を藩校に送り出すなど、藩の教育にも貢献しました。天保7年（1836年）に病のため家老を辞任し、隠居生活を送りました。

学問と著作

桐山は、1万巻にも及ぶ蔵書を所有しており、その学識の深さが窺えます。著書には、随筆である「桐山漫筆（朝陽館漫筆）」や「大東鈴家智嚢」などがあります。特に「桐山漫筆」は、文化5年（1808年）から嘉永3年（1850年）にかけて書き続けられた全162巻にも及ぶ大著であり、古文書、金石文、故実、人物伝、口碑、寺伝、詩歌、考古学絵図など、多岐にわたる内容が記述されています。この「桐山漫筆」は、昭和9年（1934年）に北信郷土叢書刊行会によって12冊にまとめられ復刊されました。

人物像

鎌原桐山は、佐久間象山や山寺常山らと共に「松代三山」と称されるほど、当時から高い評価を得ていました。藩の重鎮として活躍する一方で、学問と教育にも情熱を注ぎ、多くの門下生を育てました。彼の残した著作は、当時の社会や文化を研究する上で貴重な資料となっています。

参考文献

『長野県歴史人物大事典』郷土出版社、1989年
『日本人名大辞典』講談社、2001年

外部リンク

* ふるさと松代人物館-鎌原桐山

もう一度検索