鎌田義

鎌田 義（かまだ ただし）

鎌田義は、1974年5月10日に兵庫県三原郡緑町（現在の南あわじ市）で生を受けた元ボートレーサーです。登録番号は3887、第80期生としてプロの世界に進み、その明るいキャラクターと独特のレーススタイルから「カマギー」の愛称で多くのファンに親しまれました。同期には白井英治、重成一人、平田忠則といった実力者が名を連ねています。

異色のキャリアスタート

鎌田氏のボートレーサーへの道のりは独特です。高校時代に一度プロを目指すも試験に失敗。卒業後は宝石商として働き、持ち前の営業センスを発揮して入社1年目で1億2千万円を売り上げるなど、月収70万円に達する時期もあったといいます。しかし、阪神・淡路大震災の経験が転機となり、両親が運営する孤児院を継ぐため専門学校へ進学することを決意。一度は安定した職を辞しましたが、ボートレーサーの夢を諦めきれずに再び試験に挑戦し、見事合格を果たしました。

本栖研修所での厳しい訓練を経て、1997年5月23日、地元の尼崎競艇場での一般競争第1レースで念願のプロデビューを飾りました。このデビュー戦では6コースから2着という結果を残し、その3日目にはキャリア初勝利を挙げました。デビューから約1年4ヶ月後の1998年9月、江戸川競艇場での一般戦で初優出・初優勝を達成。この江戸川ではその後も好成績を連発し、艇界でも屈指の「江戸川巧者」としてその名を馳せることになります。

輝かしい戦歴と節目

プロとして着実にステップアップを重ねた鎌田氏は、2001年1月には浜名湖で開催されたG1新鋭王座決定戦でG1初出場を果たし、同年2月には三国でのG1近畿地区選手権競走でG1初勝利を挙げました。さらに同年5月には浜名湖でのSG笹川賞で最高峰であるSG競走にも初参戦。順調にキャリアを積み重ね、2004年10月にはびわこでのG1モーターボート大賞でG1初優出を果たしました。

節目の記録も多く達成しています。2006年12月には下関での一般戦優勝戦で通算500勝を達成し、自身21回目の優勝を飾りました。2007年3月の平和島SG総理大臣杯ではSG初勝利をマーク。そして2012年1月、地元のボートレース尼崎で開催されたG1開設59周年記念近松賞の3日目に、通算1000勝という偉業を達成しました。

SGでの活躍も続き、2012年10月のボートレース福岡でのSGボートレースダービーでは、デビューから15年6ヶ月にして自身初のSG優出（4着）を果たしました。そしてキャリア最大のハイライトは、2013年4月の大村ボートレース場でのG1開設61周年記念海の王者決定戦でした。これがG1においては8回目の優出でしたが、ここで見事に念願のG1初優勝を飾りました。この快挙はデビューから15年11ヶ月での達成でした。同年7月には津での一般戦で通算50回目の優勝を記録。現役最後の優勝は2016年10月、芦屋での一般戦「日本トーター杯争奪戦」で飾った通算63回目の優勝となりました。

キャラクターと引退、そして新たな道

鎌田氏は、そのユニークなキャラクターでも知られました。特に選手紹介でのパフォーマンスは有名で、多くのファンを魅了しました。一時期、膝の手術を経てパフォーマンスを控えたこともありましたが、晩年には再び観客を楽しませる姿が見られました。また、2006年には丸亀、平和島、江戸川、下関、蒲郡と5節連続優勝という驚異的な記録も樹立しています。競艇以外の趣味も多彩で、同じ兵庫支部の吉川元浩選手とは釣り仲間であり、タチウオ釣りの大会で決勝に進出するほどの腕前を持っています。また、競輪ファンとしても知られ、引退後は競輪イベントにゲストとして招かれることもあります。

2017年6月1日、鎌田氏は健康上の理由から選手登録を消除し、現役生活にピリオドを打ちました。数年前から頚椎ヘルニアが悪化し、右腕の筋力低下が日常生活にも支障をきたすようになったことが引退の理由だったといいます。しかし、そのボートレースへの情熱は衰えることはありませんでした。引退後、彼は兵庫県神戸市に「カマギーボートレースアカデミー」を開設。長年の経験と知識を活かし、未来のボートレーサーを目指す若者たちの指導と育成に尽力しています。生涯獲得賞金は6億円を超えるなど、確かな実績を残した鎌田義氏は、プロ生活で培った経験を新たな形で活かし、ボートレース界に貢献し続けています。

主な戦績：
出走回数：4646回
1着回数：1394回
優出回数：195回
SG優出回数：2回
G1優出回数：9回
優勝回数：63回
G1優勝回数：1回
G2優勝回数：1回
通算勝率：6.82
生涯獲得賞金：613,328,053円

もう一度検索