鏡武

鏡武（かがみ たけし）

日本の外交官。シリア、アイルランド駐箚特命全権大使などを歴任し、査察担当大使を最後に退官。現在は、公益財団法人中東調査会参与。

経歴

埼玉県川越市出身。川越市立川越第一小学校、川越市立川越第一中学校を経て、1962年に埼玉県立川越高等学校を卒業。1968年に一橋大学法学部を卒業後、外務省に入省。1969年から1971年にかけて英国ケンブリッジ大学に留学し、経済学を修めた。

外務省本省では、情報文化局、経済協力局、国際情報局などに勤務。国際報道課長、官房文書課長を歴任。海外では、在クウェート大使館、OECD日本政府代表部、南アフリカ共和国総領事館、国連日本政府代表部などで勤務。

1992年7月に国際協力事業団企画部長、1995年7月にデトロイト総領事、1997年7月にシリア駐箚特命全権大使、2000年3月にはアイルランド駐箚特命全権大使を歴任。2005年9月に査察担当大使となり、2006年9月に外務省を退官。

退官後は、帝京大学経済学部経済学科教授に就任し、開発経済、中近東を中心とする国際政治、国際関係論の講座を担当。2013年3月末に同大学を退任。その後、綜合警備保障株式会社顧問を務めた（2013年10月退職）。2014年6月より公益財団法人中東調査会副理事長、2017年からは同会副会長、2018年からは同会参与。

2019年春の叙勲で瑞宝中綬章を受章。

入省同期

赤澤正人（元嘉悦大学長・神田外語大学長）
榎泰邦（元駐インド大使・外務省中東アフリカ局長）
大島正太郎（元駐韓大使・外務審議官）
岡本行夫（元内閣官房参与・内閣総理大臣補佐官）
小川郷太郎（エイ・エフ・エス日本協会理事長・元イラク復興支援大使）
小林秀明（元迎賓館長・東宮侍従長）
東郷和彦（元外務省欧亜局長・条約局長）
服部則夫（元OECD大使・外務報道官）
槙田邦彦（元駐シンガポール大使・外務省アジア大洋州局長）
馬渕睦夫（元防衛大学校教授・駐ウクライナ大使）
美根慶樹（元日朝国交正常化交渉日本政府代表・防衛庁参事官）

著書・寄稿等

『中東紛争 その百年の相克』（有斐閣選書、2001年）
「中東紛争の底辺」（寄稿）（「書斎の窓」有斐閣 2001.7-8月号)
「パレスチナ紛争の発端は何か、いま何が問題か」（寄稿）（「歴史と地理」山川出版 2010年04月）
『発展途上世界の観光と開発』（共訳）（古今書院、2011年）
「現代中国の発展に関する分析ノート」(寄稿)(「帝京経済学研究」、2012年)
「現代シリアの部族と政治社会」（高岡豊著）（書評）（「中東研究」、2012年度）
「シリア情勢：分析と展望 なぜ、戦闘が激化し、継続するのか」(寄稿)（asahi中東マガジン 2012年）
「イスラエル・パレスチナ和平交渉の政治過程ーーオスロ・プロセスの展開と挫折」（江崎智絵著）（書評）（「中東研究」2013年度）
「中東；不安定化の実態」（寄稿）（「中東研究」2015年度）
* 「「アラブの春」以後のイスラーム主義運動」（高岡豊／溝淵正季編著）（書評）（「中東研究」2019年度）

鏡氏は、外交官としての豊富な経験と、中東問題に関する深い知見を生かし、多方面で活躍している。著書や寄稿を通して、中東情勢の分析や国際関係論に関する考察を発信し続けている。

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