長久寺 (土岐市)

長久寺（ちょうきゅうじ）

長久寺は、岐阜県土岐市駄知町にある臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を天堂山と称し、本尊には阿弥陀如来を祀っています。この寺院は、その長い歴史の中で、数々の試練を乗り越えてきました。

歴史

長久寺は、寛正2年（1461年）に、三州長興寺の二世である蘭室禅師を開山として、宗連眞光によって創建されました。当初は臨済宗東福寺派に属していましたが、宝永年間（1704年-1711年）に臨済宗妙心寺派へと転派しました。この転派は、寺院の宗派としてのアイデンティティを大きく変える出来事でした。

寛文4年（1664年）には、火災により堂宇を焼失するという大きな被害を受けましたが、寛文6年（1666年）には、妻木町崇禅寺の四世である物見の弟子、黙叟禅師によって再建されました。さらに、天保5年（1834年）には、十二世住職の常福密應の時代に再び火災に見舞われましたが、安政元年（1854年）には、十三世住職の猷岳によって再中興が成し遂げられました。これらの再建の歴史は、長久寺が地域社会において重要な役割を果たしてきたことを物語っています。

長久寺では、薬師如来も勧請し、本堂の脇間に祀っています。この薬師如来は、中部四十九薬師霊場の第三十三番札所として、多くの巡礼者を集めています。

駄知薬師堂

長久寺の境外には、駄知薬師堂があります。この薬師堂は、長久寺によって管理されており、地域の人々にとって重要な信仰の場所となっています。伝説によれば、元は大峰山の山頂にあった薬師堂が火災に遭った際、本尊の薬師如来が光を放ち、その光が尾張熱田の海を照らしたとされています。この光によって魚が獲れなくなったため、熱田の漁民が光を頼りに焼け跡から薬師如来を発見し、現在の薬師堂に祀ったと伝えられています。この伝説は、薬師堂が地域の人々にとって特別な存在であることを示しています。

薬師堂の棟札には、元禄16年（1703年）の建立と記されており、歴史的にも貴重な建造物です。安永8年（1779年）には、地蔵尊と弘法大師も合祀されました。毎年、旧十月十一日には例大祭が行われ、多くの参拝者で賑わいます。また、師走の冬至には、弘法大師の縁日が開かれ、東濃各地から多くの善男善女が参詣に訪れます。これらの祭事は、地域社会における長久寺と薬師堂の重要性を物語るものです。

長久寺と駄知薬師堂は、その長い歴史と数々の伝説を通じて、地域の人々の精神的な支えとなってきました。これらの寺院は、過去の災害や再建の歴史を通じて、地域社会の結束力を象徴する存在であり、これからもその役割を担い続けるでしょう。

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