長井真琴

長井真琴（ながい まこと）

長井真琴は、1881年7月28日に福井県丹生郡殿下村で誕生し、1970年8月8日に生涯を閉じた日本の著名な仏教学者です。彼は東京帝国大学から文学博士の学位を取得し、浄土真宗高田派勝鬘寺の住職の長男として仏教の道へ進みました。兄弟には真向法の創始者である長井津や海軍少将の長井満がいます。また、彼の家族にも仏教学者や教育者が多く存在し、長男の長井真先や四女の松本紀子などがいます。特に、姪孫の佐々木閑も仏教学者として知られています。

略歴

長井は日本におけるパーリ語の仏典研究のパイオニアとして評価されています。彼は1924年に高楠順次郎とともに『サマンタパーサーディカー』というパーリ語仏典の注釈書の校訂作業を開始し、このプロジェクトは30年もの歳月をかけて完成しました。また、NHKのパーリ語に関するラジオ講座も担当し、広く知識を普及させました。

彼は1934年には母校の東京帝国大学で教授に就任します。1940年には中央商業学校の校長を兼任しましたが、大学教授が私立学校の校長に就任することは異例のことでした。その後、1942年に東京帝大を定年退官しました。

戦後は、日本大学、東洋大学、京浜女子大学の教授を歴任し、国際宗教研究所の名誉理事長としても活動しました。1951年には中央商科短期大学の学長に就任し、1952年には東京・築地本願寺で開催された第二回世界仏教徒会議で副総裁を務めました。さらに、1954年には全日本仏教会の副総裁に就任し、仏教界の発展に貢献しました。

長井は1955年に紫綬褒章を受け、1956年にはカンボジアの友好貢献により、モニサラホン四等勲章を授与されています。また、1957年にはセイロンでの仏紀2500年記念式典にも日本仏教徒代表団の団長として参加し、国賓としてもてなされました。

主著

彼の著作には、『根本仏典の研究』や『戒律の根本』など、仏教に関する多くの重要な文献が含まれています。主な著書は以下の通りです：

• - 『釈迦牟尼と其教義』玉村書店, 1920
• - 『根本仏典の研究』天地書房, 1922
• - 『仏陀伝』新光社, 1923
• - 『戒律の根本』丙午出版社, 1929
• - 『独習巴利語文法』丙午出版社, 1930
• - 『仏教と人生』大雄閣, 1931
• - 『心の経済』光融館書店, 1934
• - 『仏教戒律の真髄』大蔵出版, 1958

また、彼は共著や校注・訳も数多く手がけ、さまざまな仏教文献を広める努力をしました。特に『巴利伝訳法句経』や『ダンマパダ 法句経』などは、彼の研究成果を表す重要な作品といえます。

回想記

長井は2000年に出版された『東方学回想 III 学問の思い出〈1〉』において、彼の学問に対する思いを語っています。長いキャリアを通じて、彼が培った知識と経験は、後世の研究者たちにとっても大きな財産となっています。

まとめ

長井真琴は、仏教の研究と教育において多大な貢献を果たした人物であり、その影響は今日でも色濃く残っています。彼の学問的業績といった数々の偉業は、仏教研究の発展を促す基盤となりました。

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