長岡天満宮

長岡天満宮：歴史と文化が薫る京の社

長岡天満宮は、京都府長岡京市天神に鎮座する、菅原道真公を主祭神とする神社です。古くから地域住民に「天神さん」と親しみを込めて呼ばれ、府社として崇敬を集めています。延暦3年（784年）に桓武天皇が平安京の造営前に遷都した長岡京の西南端に位置し、歴史と文化が深く根付いた地にあります。

歴史：道真公ゆかりの地と中興の祖

平安時代、この地は菅原道真公の所領であったと伝えられています。道真公が在原業平らと詩歌管弦を楽しむなど、ゆかりの深い場所でした。昌泰4年（901年）、道真公が筑紫に左遷される際、この地で「我が魂長くこの地にとどまるべし」と名残を惜しんだと伝えられています。

道真公の左遷に付き従ったとされる中小路宗則は、道真公から木像と念持仏を託され、道真公の死後、この地に祀ったことが、長岡天満宮の創立とされています。その後、皇室からの崇敬を受け、度々造営されました。寛永15年（1638年）には、八条宮智仁親王によって境内東側に八条ヶ池が築造されるなど、盛時には広大な社地を誇っていました。

明治時代に入ると、宮司の中小路宗城が境内整備や奉賛会の設立など、神社の復興に尽力しました。その功績により、村社から郷社、さらに府社へと社格を上げ、一代で二度もの昇格という稀な偉業を成し遂げました。昭和3年（1928年）には阪急電鉄京都本線の長岡天神駅が開業し、さらに賑わいを見せるようになりました。その後、息子の宗康が平安神宮の旧本殿などを拝領、現在の境内のほぼ完成形となりました。

境内：四季折々の景観と数々の文化財

かつては10万坪を超える広大な社地でしたが、明治維新以降、現在の2万坪となりました。現在の本殿は、昭和16年（1941年）、平安神宮の社殿（伊東忠太設計）を移築したものです。朱塗りの拝殿は、1998年に「菅公御神忌1100年大萬燈祭」を記念して増改築されました。

境内には、回遊式庭園「紅葉庭園 錦景園」や、樹齢100年以上を数えるキリシマツツジが美しい八条ヶ池、梅林、竹林、あじさい園などがあり、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。また、春日社、八幡社などの摂社末社、長岡稲荷神社、そして笠松地蔵など、数多くの文化財も点在しています。本殿は京都府指定有形文化財、春日社と八幡社、社務所、手水舎などは長岡京市指定有形文化財に指定されています。

年間参拝者数は69万人を超え、多くの観光客が訪れます。特に、キリシマツツジが見頃の春には「春の観光まつり」が開催され、賑わいを見せます。また、4月下旬には「霧島コンサート」、8月下旬には「宵宮コンサート」と、クラシック音楽の演奏会も開催され、地域住民に親しまれています。

祭事：年間を通して行われる様々な祭典

長岡天満宮では、年間を通して様々な祭事が執り行われています。1月1日の歳旦祭、2月上旬の初午祭、3月中旬の梅花祭、4月下旬の春の観光祭り、5月5日の筆塚祭、7月7日の七夕祭、8月25日の夏祭り、10月9日の例大祭、11月15日の七五三など、多くの祭事が人々の信仰と生活に密着しています。これらの祭事を通して、地域住民の結束が深まり、伝統文化が継承されています。

アクセス

阪急京都本線「長岡天神駅」より西へ徒歩10分
JR京都線「長岡京駅」より西へ徒歩20分


長岡天満宮は、歴史、文化、自然が調和した、魅力溢れる場所です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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