長島輪中

長島輪中とは

長島輪中（ながしまわじゅう）は、三重県北部の木曽川下流部に存在した干拓地です。現在の桑名市長島町の北部にあたるこの地域は、木曽三川の形成した三角州地帯に位置しています。木曽三川は、長島輪中の東と西で二本に分かれて伊勢湾へと流れ込みます。

この地区の北側には自然堤防を利用して開発された地域があり、西側は河口部にある砂州を干拓して造成された土地となっています。長島輪中の南西に位置するエリアも同様に干拓によって開発されており、桑名市から三重県桑名郡木曽岬町、さらには愛知県弥富市にかけて広がる輪中全体が含まれます。今日では「長島輪中」と呼ばれるこの地域は、木曽三川の分流工事を経て陸続きとなった葭ケ須輪中や横満蔵輪中を含む大規模な複合輪中として認識されています。

地理的特徴

広い意味で見た長島輪中は、異なる輪中が相互に関係しながら発展した地域です。この地域は、その土壌をめぐる開発が長い歴史を持ち、特に江戸時代には水運の重要な拠点となっていました。

歴史的背景

長島輪中の起源には文献がないため正確には不明ですが、平安時代にはすでに集落が形成されていたと考えられます。室町時代末期の古地図には、この地域に7つの島の存在が記されています。そのため、この地域は「七島（ななしま）」として知られ、これが「長島」の名の由来となったとされています。

古くは「長島七曲輪」と呼ばれる7つの小輪中が存在し、1621年には松平定勝によってこれらを統合し、一つの輪中として整えました。その後、1623年には今の長島輪中の基礎が築かれました。

さらなる開発

長島輪中の発展の後、周辺地域でも砂州を利用した干拓が進められ、特に17世紀から19世紀にかけて様々な輪中が形成されました。開発は当初農民によって行われ、中期以降は商人的な要素が強まっていきました。また、江戸時代には東海道や佐屋街道といった重要な交通路が通り、経済活動が活発になりました。

輪中の種類

長島輪中周辺には、各種の輪中が存在していました。葭ケ須輪中や横満蔵輪中など、異なる開発者によって様々なエリアが完成し、それぞれの農業活動が発展しました。例として、葭ケ須輪中は尾張国の入植者によって17世紀に形成され、横満蔵輪中は1757年に新田が開発されるなど、地域ごとの特色が見られました。

分流工事とその影響

明治時代には木曽三川分流工事が行われ、長島輪中地域にも大規模な変化がもたらされました。この工事により、地域内の主要な輪中のつながりや土地の利用が一変しました。

近代と復興

1959年の伊勢湾台風では、長島輪中を含む地域が甚大な被害を受けました。特に松蔭東の集落は多くの家屋が流失し、住民にも大きな影響が及びました。その後の復興事業によって地域の再建が試みられましたが、新たな県境問題も浮上してきました。

このように、長島輪中は自然条件に適応した農業地域として、歴史的および地理的に重要な役割を果たしてきました。これからも、地域の文化や歴史が引き継がれていくことでしょう。

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