長崎バスジャック事件

長崎バスジャック事件

長崎バスジャック事件は、1977年10月15日に長崎県で発生した路線バス占拠事件です。2人組の男がバスを乗っ取り、人質を取って立てこもるという、当時としては異例の事件でした。

事件の概要

事件が発生したのは、西肥自動車の平戸発長崎駅前行きの路線バスでした。バスが長崎県大村市内を走行中、改造銃や手製爆弾で武装した2人組の男が、白い覆面姿でバスに乗り込んできました。男たちはバスを乗っ取り、人質を取って、警察との交渉を開始しました。

犯人たちは、乗客の解放と引き換えに、食料や飲料、毛布などを要求しました。さらに、法務大臣や著名な政治評論家を連れてくるよう要求するなど、その要求はエスカレートしていきました。犯人たちは自らを「阿蘇赤軍」と名乗りましたが、その言動には矛盾点も多く、警察は早い段階で、彼らが政治思想とは無関係な、身代金目的の犯行であると判断しました。

バスの車内には、爆発物のようなものが仕掛けられており、犯人たちは人質を脅迫しました。しかし、警察は冷静に状況を分析し、爆発物が偽装であることを突き止めました。

事件の解決

警察は犯人たちに対し、説得を続けましたが、交渉は難航しました。事件発生から18時間後、人質の体力が限界に達したと判断した警察は、突入を決断します。警察官が犯人を挑発したところ、犯人が手製爆弾を投げつけました。その爆発の瞬間に、突入部隊が一斉にバス内部へ突入し、犯人に向けて発砲。主犯格の男は死亡、もう1人の犯人は重傷を負いました。人質は全員無事に救出されました。

犯人射殺による人質事件の解決は、1970年の瀬戸内シージャック事件以来2例目でした。しかし、この事件以降、日本国内の人質立てこもり事件で、犯人射殺によって解決したケースはありません。

事件の報道

この事件は、長崎放送とテレビ長崎によって、突入から逮捕、人質救出までの様子が全国に生中継されました。当時の映像は、事件の緊迫した状況を今に伝えています。

事件後

バスジャックに遭った車両は、修理後、1995年まで使用されました。その後、個人の手に渡り、長崎県内の山中で物置として使われていることが、2018年に報道されました。車体は朽ちていましたが、事件当時の広告がそのまま残っていました。

関連項目

瀬戸内シージャック事件
三菱銀行人質事件
* 西鉄バスジャック事件

長崎バスジャック事件は、日本の犯罪史に残る重大事件として、今も語り継がれています。人質救出という結果には至りましたが、多くの課題を残した事件でもありました。

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