長崎中山氏

長崎中山氏について

長崎中山氏（ながさきなかやまし）は、日本の歴史に名を刻む氏族で、藤原北家の花山院家の支流にあたります。彼らの始祖は、花山院忠宗の子である中山忠親（中山家）であり、彼の曾孫、中山忠義が出羽国に定住することでこの一族の歴史が形作られていきました。長崎中山氏の居城は、かつての長崎楯、現在の山形県東村山郡中山町に位置します。

承久の乱への関与

承久の乱（1221年）の際には、大江親広が後鳥羽上皇側について敗北を喫しました。この乱の推移により、中山忠義は大江親広に従い、寒河江荘に移住しました。寒河江荘は当初、鎌倉幕府の政所別当の大江広元の義父であり、忠義は戦乱からの防御のために富沢（現在の山形県西村山郡大江町富沢）の近くで最上川を挟んだ伏熊に楯を築き、警戒に当たりました。

最上川沿いの開拓

忠義の子孫である忠信の時代には、長崎村（現在の山形県東村山郡中山町長崎）に新しい館が築かれました。ここは最上川の川跡に広がる湿原を干拓した場所で、これは継信の孫、宗朝の代に完成しました。この干拓により、寒河江氏との密接な関係が出来上がっていきます。

熊野神社との関連

長崎中山氏は、平塩の熊野神社とも深い関わりがあります。この神社は14世紀以降、長崎中山氏の祈願所として機能しており、元々は熊野三所権現にちなんだものでした。その後、明応年間に現在の場所に合祀され、長崎郷の12村の総鎮守とされたと考えられています。

戦国時代の展開

戦国時代に突入すると、長崎中山氏は独立の道を模索します。寛正5年（1464年）には谷木沢に山楯を設け、文亀3年（1503年）には山野辺氏との縁戚関係を結ぶなど、寒河江氏からの自立を試みる様子が見受けられます。天正12年（1584年）には、最上氏の攻撃により寒河江氏が滅亡し、それに伴って長崎中山氏も最上氏に臣従しました。

江戸時代への移行

江戸時代には、長崎城を治めるとともに、楯岡城番としての役割も担いました。元和8年（1622年）には最上氏が改易され、長崎中山氏の光信が阿部正次に預けられました。彼は後に赦され、再び400石で召し抱えられました。光信の長子である光成は700石の知行を得て家老職に就きましたが、藩内の対立により浪人となります。その一方で、光忠は家に戻ることを許され、家系が存続していくこととなります。

系図とその後

長崎中山氏は、系図の中で多くの縁戚関係を結んできました。傍系には「松田」や「青木」姓を名乗る家系もあり、彼らは幕末までその名を残しています。

長崎中山氏の歴史は、地域の政治状況と深く結びついており、武士としての活動のみならず、地域社会との関係性も重視されています。このような経緯を経て、彼らの名は現在に至るまで伝えられています。

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