長春会議

長春会議について

長春会議は、1922年9月4日から25日まで長春で行われた日本と極東共和国との国交に関する協議です。この会議は、ロシア革命以来続けられてきたシベリア出兵の行方が明らかに変化しつつある中で開催されました。アメリカなどの出兵国が次々に撤退し、ソビエト政権が安定化していく中で、日本は国際的な批判を受けながらも強硬な立場を崩さず、状況を改善しようと試みました。

会議が開催されるまでの経緯を見てみると、1921年8月から1922年4月までの大連会議があったものの、こちらの交渉は決裂を迎えました。日本側は尼港事件に対する謝罪と賠償を求め、これに対し極東共和国は日本軍の撤退期日を印刷するよう要求しました。この問題の解決は難しかったため、協議は失敗に終わりました。

しかし、交渉が完全に終わったわけではなく、1922年4月24日、極東共和国の外務大臣ヤンソンから日本の外務大臣内田康哉に交渉の再開を求める手紙が送られました。さらに、同年6月24日には加藤友三郎内閣が日本軍の撤退を決定し、交渉再開の環境が整備されました。この結果、長春での新たな交渉が9月に行われることとなりました。

長春会議には、松平恒雄外務省欧米局長や松島肇ウラジオストク総領事など、日本側からは重要なメンバーが参加し、極東共和国側からはヤンソン外務大臣とソビエト連邦の全権代表アドリフ・ヨッフェが出席しました。交渉は始まったものの、日本側はソビエト連邦代表の参加に疑念を持ち、また、北樺太からの日本軍の撤退は尼港事件の問題が解決した後に改めて協議することが提案されました。

これは、極東共和国側から不満が出る結果となり、双方の条件には大きな隔たりがありました。極東共和国の側は、外交的な合意はソビエト連邦の憲法に基づくものであるため、ソビエト連邦を日本が承認しない限り無効だとの主張をしました。さらに、北樺太からの撤退期限の提示が求められ、これによって会議は難航しました。

結局、交渉は1か月足らずで決裂し、その後日本軍は北樺太から一方的に撤退しました。この状況を受けて、極東共和国はソビエト連邦に統合されました。

長春会議における日本側の立場は、共産政権の成立を許容せず、ソビエト連邦の承認を先送りしようとするものでした。また、外交交渉を通じて極東共和国をソビエト政権から独立させ、地域の経済活動の自由を確保しようとしていました。しかし、ソ連側はすでにロシア本土からの日本軍撤退が進んでおり、西欧諸国との外交交渉も進展していたため、日本との関係改善が急務ではなくなっていました。このため、日本は新たな外交戦略を模索せざるを得なくなり、協議は振り出しに戻ることになりました。

長春会議は、日ソ関係の複雑な側面を示す重要な出来事であり、後の日本の外交政策に影響を与えることとなります。

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