長栄寺 (東大阪市)

長栄寺

長栄寺は、大阪府東大阪市高井田元町に位置する新真言宗の総本山の寺院です。山号を百済山と号し、本尊として十一面観音を祀っています。

歴史

寺伝によれば、長栄寺は聖徳太子が自ら十一面観音を刻んで安置したのが始まりとされ、百済からの渡来僧である入法を開山として創建されたと伝えられています。山号の百済山は、この地に百済系の渡来僧が仏教を広めたことに由来するとも言われています。

中世には戦火で荒廃しましたが、延享元年（1744年）に慈雲尊者が入寺し、中興しました。慈雲尊者は正法律（真言律）の復興を唱え、弟子たちと修行に励み、その道場としました。その後、長栄寺は高貴寺とともに正法律の一派として江戸幕府に認可され、その教えを広めました。

文政8年（1825年）に本堂が全焼しましたが、同年中に再建されています。明治時代の廃仏毀釈の際には、寺宝の多くが高貴寺に移され難を逃れました。昭和21年（1946年）には、真言律宗系統の新真言宗が設立され、長栄寺はその総本山となりました。

長栄寺の西には「長堂」という地名が残っていますが、これはかつて長栄寺のお堂があったことに由来すると言われています。

境内

境内には、以下のような堂宇や施設があります。

本堂（吉祥殿）: 文政8年（1825年）に再建された建物で、原在中による龍の天井画が見どころです。本尊は秘仏の十一面観音像（長谷寺式）です。
慈雲尊者像: 慈雲尊者の像が安置されています。
厄除修行大師像: 空海（弘法大師）の像です。
回廊
庫裏: 慈雲尊者の筆による扁額「無畏城」が掲げられています。
庭園
禅那台: 宝暦8年（1758年）に慈雲尊者が生駒山中に隠棲し、修行のために建てた雙龍庵の遺構です。慈雲尊者は41歳から54歳までこの建物で過ごしました。
北向延命地蔵堂
涅槃堂
開山堂
山門: 門の前には石造の仁王像が安置されています。
阿遮羅殿: 六角堂で、両頭愛染明王を祀っています。
八幡大菩薩・三宝荒神社

文化財

長栄寺には、以下の文化財があります。

大阪府指定有形文化財
禅那台
木造十一面観音立像
大阪府指定史跡
長栄寺境内

札所

長栄寺は、以下の霊場の札所となっています。

河内西国霊場 第33番
河内飛鳥古寺霊場 第2番
河内飛鳥七福神（福禄寿）

所在地・アクセス

所在地: 東大阪市高井田元町1-11-1
* アクセス: 近鉄奈良線河内永和駅、JRおおさか東線JR河内永和駅より徒歩3分

長栄寺は、豊かな歴史と文化に彩られた寺院であり、多くの人々に信仰されています。ぜひ一度足を運んでみてください。

もう一度検索