長皇子

長皇子（ながのみこ）について

長皇子は、天武天皇の子であり、その品格は一品とされていました。また、長親王（ながしんのう）という名でも知られています。彼の生涯は、古代日本の政治や文化において重要な役割を果たしました。

経歴

持統天皇7年（693年）に、長皇子は同母弟の弓削皇子とともに官職に就き、浄広弐（三品に相当）に叙せられました。その後、大宝元年（701年）に制定された大宝令に基づく位階制度の変遷に伴い、二品の地位を得ます。これにより、彼の地位はさらに確立されました。

文武天皇の治世および元明天皇の時代においても、長皇子は重要な地位を維持しました。特に慶雲元年（704年）と和銅7年（714年）には、それぞれ200戸の封戸を受け取るなど、その影響力は高まりました。彼はまた、祖父にあたる天智天皇の血筋を引くため、穂積親王の後継者と見込まれる存在でもありました。

しかし、和銅8年（715年）06月04日に彼は亡くなってしまいました。享年は明確ではありませんが、智努王などの子息の生年から推測するに、40代中盤から50代前半だったとされています。また、長皇子がキトラ古墳の被葬者であるという説も存在し、彼の死後もその影響は残りました。

官歴

『六国史』によると、長皇子の官歴は次のようになります。

• - 持統天皇7年（693年）正月2日：浄広弐
• - 不明時期：二品
• - 大宝4年（704年）正月11日：益封200戸
• - 和銅7年（714年）正月3日：益封200戸
• - 不明時期：一品

系譜

長皇子の家族についても触れておきます。彼の父は天武天皇、母は大江皇女（天智天皇の娘）です。同母弟には弓削皇子がいます。その他に、彼は多くの子供たちを授かりました。

男子には河内王（?-728）、栗栖王（682-753）、智努王（693-770）、石川王、長田王、そして大市王（704-780）などがいます。また、女子には広瀬女王（?-765）や智努女王などがいました。

特に智努王と大市王は、舎人親王を亡くした後、文室真人姓を授けられて臣籍に降下しました。これらの子孫は、天武系皇族が政略上の粛清に見舞われた中でも生き延び、最終的には神護景雲4年（770年）に称徳天皇崩御の際には皇嗣の候補として名前が挙げられました。

和歌

長皇子は、歌人としてもその名を知られています。『万葉集』には彼の作品が5首残されており、彼の詩才は後世に影響を与えました。特に、小倉百人一首の歌人である文屋康秀とその子の文屋朝康は、長皇子から数代目の子孫に位置づけられます。

彼の代表的な歌の一つには、次のようなものがあります。

• - 宵に逢ひて朝面無み隠にか日長き妹が廬りせりけむ
• - 霰うつ安良礼松原住吉の弟日娘子と見れど飽かぬかも

これらの詩からは、彼の心情や風景が鮮明に描かれ、当時の日本における感情表現の一端を垣間見ることができます。

脚注

長皇子は日本史に名を残す重要な人物であり、その存在は後代の文学や政治にも影響をもたらしました。今後も、彼の足跡を辿ることは日本の古代文化を理解する上で欠かせない旅と言えるでしょう。

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